三角関数では
30°、45°、60° といった有名角の値はよく知られています。
さらに少し進むと
18° や 36° といった準有名角の値も求めることができます。
では、次の疑問が浮かびませんか?
「sin9° や cos9° の値も求めることはできるのか?」
結論から言うと、三角関数の半角公式を利用すれば
sin9°、cos9°、tan9°の値も求めることができます。
ただしその結果は、思っているよりも少し複雑な形になります。
本記事では
- 半角公式の復習
- cos18°の値の復習
- sin9°、cos9°、tan9°を半角公式を利用して求める
という流れで話を進めていきます。
本記事で求めるsin9°、cos9°、tan9°の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} ≒ 0.156432 \\
\displaystyle \cos 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} ≒ 0.987688 \\
\displaystyle \tan 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}} ≒ 0.158381
\end{eqnarray}
目次
■半角公式の復習
まずは三角関数の半角公式についてですが、実はこちらは既に別記事でまとめています。
以下の記事で丁寧に導出・証明しているので、気になる方は是非ご一読ください。
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三角関数の半角公式の導出|
sin15°やcos15°の値も求められる三角関数には「半角公式」と呼ばれる便利な公式があります。 この公式を利用すると、sin15°やcos15°などの値を求めることも可能になります。 では、この半角公式はどのようにして導出されるのでしょう ...
半角関数の公式(復習)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^2\theta &=& \frac{1-\cos2\theta}{2} \\
\displaystyle \cos^2\theta &=& \frac{1+\cos2\theta}{2} \\
\end{eqnarray}
■ cos18°の値の復習
上の半角公式を見てもらったらわかる通り、実は cos18° の値さえわかれば、
後は半角公式に当てはめるだけで sin9°、cos9° の値は求めることができます。
そして、sin9°、cos9 がわかれば tan9°も求めることができます。
それでは cos18° の値についても復習しておきましょう。
実は cos18° の値についても別記事で導出しております。
こちらの導出過程が気になる方は、是非以下の記事をご参照下さい。
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sin18°・sin36°の値の求め方|
三角関数の導出をわかりやすく解説【18°、36°】は準有名角と呼ばれています。 これらの角度は「有名角」ではありませんが、実は三角関数の公式を使うことできれいに導出することができます。 本記事では、sin18°・sin36°の値を数 ...
cos18° の値(復習)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos18^{\circ}&=&\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}
\end{eqnarray}
■ sin9°、cos9°、tan9° を求めてみる
いよいよ本番です。
上で確認した半角公式を利用して、sin9°、cos9°、tan9° を求めていきます。
sin9°、cos9°、tan9°の値(2重根号形式)
sin9°の値(2重根号形式)
半角公式より、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^2 9^\circ &=& \frac{1-\cos 18^\circ}{2} \\
\displaystyle &=& \frac{1-\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}}{2} \\
\displaystyle &=& \frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}
\end{eqnarray}
上式より、 sin9° の値は
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \tag{1}
\end{eqnarray}
となる。
「あれ?(1)式の右辺の符号は"±"になるから、答えは2つ出てくるんじゃないの?」と
疑問に思った方はいますでしょうか?
結論としては、今回は"+"の1つだけが正答となります。
その理由がよくわからない方は、以下記事で三角関数の基礎についてまとめてますので、是非参照してみて下さい!
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三角関数とは?|
基本から定義・性質・使い方まで解説2026/3/8
三角関数とは、三角形の辺と角の関係を表す関数であり、\(\sin\theta\), \(\cos\theta\), \(\tan\theta\) のような形で表されます。本記事では、三角関数の基本とな ...
cos9°の値(2重根号形式)
半角公式より、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos^2 9^\circ &=& \frac{1+\cos 18^\circ}{2} \\
\displaystyle &=& \frac{1+\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}}{2} \\
\displaystyle &=& \frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}
\end{eqnarray}
上式より、 cos9° の値は
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \tag{2}
\end{eqnarray}
となる。
tan9°の値(2重根号形式)
上で求めた(1)式、(2)式を利用して求める。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan 9^\circ &=& \frac{\sin 9^\circ}{\cos 9^\circ} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}}}{\sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}}} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}}{\sqrt{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}}
\end{eqnarray}
上式より、 tan9° の値は
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}} \tag{3}
\end{eqnarray}
となる。
■sin9°、cos9°、tan9°の値の正当性の確認
ここからが本題、というか、筆者が確認してみたかったことです。
半角公式を利用することで、sin9°、cos9°、tan9°の値は以下の通り求めることができました。
sin9°、cos9°、tan9°の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \tag{1} \\
\displaystyle \cos 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \tag{2} \\
\displaystyle \tan 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}} \tag{3}
\end{eqnarray}
ただ、これらの値って、本当に合っているのでしょうか?
それを確認するため、以下の値を(1)式~(3)式に当てはめてみて、最終的に他サイトの三角関数表を参照して、上式の正当性の確認を行ってみましょう。
筆者が電卓を用いて計算した結果を以下に記載していきます。
計算結果の小数第6位までを利用して計算していくこととします。
sin9°、cos9°、tan9°の値(小数形式)
sin9°の値(小数形式)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \\
&≒& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2 \times 2.236067}}{8}} \\
&=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{14.472134}}{8}} \\
&≒& \sqrt{\frac{4-3.804225}{8}} \\
&=& \sqrt{\frac{0.195775}{8}} \\
&≒& \sqrt{0.024471} \\
&≒& 0.156432 \tag{4}
\end{eqnarray}
cos9°の値(小数形式)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \\
&≒& \sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2 \times 2.236067}}{8}} \\
&=& \sqrt{\frac{4+\sqrt{14.472134}}{8}} \\
&≒& \sqrt{\frac{4+3.804225}{8}} \\
&=& \sqrt{\frac{7.804225}{8}} \\
&≒& \sqrt{0.975528} \\
&≒& 0.987688 \tag{5}
\end{eqnarray}
tan9°の値(小数形式)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan 9^\circ &=& \frac{\sin 9^\circ}{\cos 9^\circ} \\
&≒& \frac{0.156432}{0.987688} \\
&≒& 0.158381 \tag{6}\\
\end{eqnarray}
国立大学が公表している三角関数表の値との比較
千葉大学理学部数学・情報物理学科の公式HPに載っている三角関数表を参考に、
上で求めた(4)式~(6)式の値が一致しているか、確認していきます。
上記サイト内では、sin9°、cos9°、tan9°の値はそれぞれ以下の通り記載されています。
千葉大学が公表している sin9°、cos9°、tan9° の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 9^\circ &=& 0.1564 \\
\displaystyle \cos 9^\circ &=& 0.9877 \\
\displaystyle \tan 9^\circ &=& 0.1584
\end{eqnarray}
(4)式~(6)式の値と比較してみると、ほぼほぼ一致した結果となっていることがわかります。
■まとめ
本記事では、三角関数の公式を利用して
- sin9°
- cos9°
- tan9°
の値を導出しました。
計算の結果、以下のような値になることが分かりました。
sin9°、cos9°、tan9°の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \tag{1} \\
\displaystyle \cos 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{8}} \tag{2} \\
\displaystyle \tan 9^\circ &=& \sqrt{\frac{4-\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4+\sqrt{10+2\sqrt{5}}}} \tag{3}
\end{eqnarray}
一見すると複雑な形に見えますが、
三角関数の半角公式と有名角の値を利用することで求めることができます。
また、小数に直した値を三角関数表と比較すると、
今回導出した値が正しいことも確認できました。
このように三角関数では、有名角だけでなく
9°のような角度でも理論的に値を求めることが可能です。
三角関数の理解を深めたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。