「大学院に進学するべきか、それとも学部卒で就職するべきか」
大学3年生・4年生になると、このように悩む方も多いのではないでしょうか。
特に理系では大学院へ進学する学生も多いため、
「周りが大学院に行くから、自分も行った方がいいのかな?」
「大学院に行かないと就職で不利になる?」
「目的もないのに大学院へ進学して、後悔しないだろうか?」
と悩むこともあると思います。
私自身も理系の大学院へ進学し、修士課程を修了しました。
しかし振り返ってみると、私は大学院へ進学したことについて後悔した時期もありました。
なぜなら、「大学院でこの研究をしたい」という明確な目的を持たないまま進学してしまったからです。
もちろん、大学院へ進学したことで得られたものもあります。
そのため、
「大学院は行くべき」「大学院は行かない方がいい」
と一概に決められるものではありません。
大切なのは、自分が大学院へ進学する目的を持っているかどうかです。
この記事では、実際に理系大学院を修了した私の経験をもとに、
- 大学院に行った方がいい人・行かない方がいい人
- 大学院へ進学するメリット・デメリット
- 私自身が大学院へ進学して後悔した理由
- 大学院へ行かなかった場合に考えられる後悔
- 進学するか迷ったときに確認しておきたいこと
について解説します。
大学院への進学を迷っている方が、自分に合った進路を考えるための参考になれば幸いです。
1. 大学院に行くべき人・行かない方がいい人
最初に、
「結局、自分は大学院に行くべきなの?」
という疑問について考えてみましょう。
大学院への進学が自分に合っているかどうかは、単純に「理系だから」「周りが進学するから」だけでは判断できません。
大学院では、学部までの「授業を受けて知識を身につける」という学び方だけでなく、自分で課題を見つけ、研究を進めていくことが重要になります。
そのため、進学する目的や研究への興味によって、大学院生活に対する感じ方は大きく変わると思います。
大学院に行った方がいい人
例えば、次のような人は大学院への進学を検討する価値があるでしょう。
- 研究してみたいテーマがある
- 専門分野についてさらに深く勉強したい
- 希望する仕事で大学院での専門性を活かせそう
- 研究開発職など、修士課程での経験が活かせる職種を目指している
- 自分で考えながら一つのテーマを深く追究することが好き
特に、「この分野についてもっと研究したい」という気持ちがある人にとって、大学院は学部以上に専門性を深められる環境です。
また、将来希望する職種によっては、大学院で身につけた専門知識や研究経験を活かせる場合もあります。
大学院への進学を慎重に考えた方がいい人
「大学院に行かない方がいい人」という観点では、次のような理由だけで進学しようとしている場合は、一度立ち止まって考えた方がいいと思います。
- 周囲の友人が大学院へ進学するから
- まだ働きたくないから
- 就職活動をしたくないから
- 何となく大学院へ行った方がよさそうだから
- 研究したいテーマや分野にほとんど興味がない
実は、私自身がこのタイプに近い状態でした。
周囲に大学院へ進学する学生が多かったこともあり、深く考えずに進学してしまった部分があります。
その結果、大学院へ入ってから「自分はそもそも研究にそれほど興味を持っていなかった」と気づき、苦労することになりました。
もちろん、進学時点で研究テーマまで完全に決めておく必要はありません。
ただ、
「なぜ自分は大学院に行くのか?」
という問いに対して、自分なりの答えを持っておくことは大切だと思います。
2. 大学院に進学するメリット
ここからは、私自身が大学院へ進学して感じたメリットについて紹介します。
メリット① 専門分野について深く学べる
大学院の大きなメリットは、自分の専門分野について学部以上に深く学べることです。
学部では授業を通して幅広い知識を学ぶことが中心ですが、大学院では一つのテーマについて研究を進めていきます。
研究を進めるためには、
「なぜこの現象が起こるのか?」
「先行研究ではどこまで分かっているのか?」
「自分の研究では何を明らかにするのか?」
といったことを自分で考えなければなりません。
そのため、単に知識を覚えるだけではなく、一つの問題について深く考える経験ができます。
メリット② 論理的に考えて説明する力が身につく
大学院では、自分の研究について発表する機会があります。
私の場合も、研究内容を資料にまとめ、教授や研究室のメンバーの前で説明する機会がありました。
自分では理解しているつもりでも、他人へ説明しようとすると、
「なぜそう言えるのか?」
「その根拠は何なのか?」
「この説明だけで相手に伝わるのか?」
といった部分まで考える必要があります。
こうした経験を繰り返すことで、物事を論理的に整理し、相手に説明する力を鍛えることができます。
これは研究だけでなく、就職後に資料を作成したり、人前で説明したりするときにも活かせる経験だったと感じています。
メリット③ 就職先によっては大学院での経験を活かせる
大学院で身につけた専門知識や研究経験は、就職活動でも活かせる場合があります。
特に研究開発職や技術職など、専門性が求められる職種では、大学院での研究内容や経験について聞かれることもあります。
ただし、
「大学院へ行けば必ず就職に有利になる」
というわけではありません。
専攻や希望する業界・職種によって事情は異なります。
そのため、大学院へ進学するか迷っている場合は、自分が希望する企業や職種では、学部卒と大学院卒で採用区分や仕事内容に違いがあるのかを事前に調べておくことをおすすめします。
3. 大学院に進学するデメリット
もちろん、大学院への進学にはメリットだけでなくデメリットもあります。
私の場合はこちらの方が、進学前にもっと真剣に考えておくべき部分でした。
デメリット① 研究に興味がないと大学院生活がつらくなる
私が最も強く感じたのが、この点です。
大学院では研究に多くの時間を使います。
そのため、研究そのものに興味を持てない場合、大学院生活が苦しくなってしまう可能性があります。
私自身、大学院へ進学してから、
「自分は研究そのものに、それほど興味を持っていないのではないか」
と感じるようになりました。
学部までの授業であれば、ある程度「試験に合格する」という明確なゴールがあります。
しかし研究では、最初から答えが用意されているわけではありません。
思うような結果が出ないこともありますし、自分で考えながら試行錯誤を続けなければなりません。
ここに面白さを感じられるかどうかは、大学院生活を考えるうえで重要だと思います。
デメリット② 研究室や研究テーマとの相性が大きい
大学院生活では、所属する研究室や研究テーマとの相性も重要です。
私の場合、研究テーマについて自分から強い希望があったわけではなく、教授から提示されたテーマを中心に研究を進めることになりました。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
しかし、もともと研究への強い興味を持っていなかったこともあり、研究に対するモチベーションを維持するのが難しい時期がありました。
進学する前に、
「その研究室ではどのような研究をしているのか」
「自分が興味を持てそうなテーマがあるのか」
「研究室の雰囲気は自分に合いそうか」
といったことを確認しておけばよかったと感じています。
デメリット③ 学費と時間が必要になる
修士課程へ進学する場合、一般的には学部卒で就職する場合よりも社会人になる時期が遅くなります。
また、その間には大学院の学費や生活費も必要になります。
もちろん、大学院で得られる経験に価値を感じるのであれば、その2年間が無駄になるわけではありません。
一方で、
「大学院で何をしたいのか分からない」
という状態であれば、学部卒で就職する選択肢と比較して考える必要があります。
単純に「大学院卒の方がよさそう」という理由だけではなく、学費と時間を使ってでも大学院へ進学したい理由があるかを考えておくことが大切です。
4. 私が大学院に進学して後悔した理由
ここからは、私自身の経験についてもう少し詳しく紹介します。
私が大学院への進学を後悔した大きな理由は、
明確な目的を持たずに進学してしまったこと
です。
特に大変だったのが、研究内容について発表するゼミでした。
研究を進め、その内容をまとめて発表し、教授から質問や指摘を受けます。
しかし当時の私は研究に対して強い興味を持てていなかったため、研究を進めること自体が負担になっていました。
さらに、
「なぜこの方法を選んだのか?」
「この結果から何が言えるのか?」
といった質問にうまく答えられず、ゼミの日が近づくたびに憂うつになったこともあります。
今振り返ると、大学院そのものが悪かったというより、
「自分が大学院で何をしたいのか」を十分考えないまま進学したこと
が一番の問題だったと思っています。
だからこそ、これから大学院への進学を考えている方には、
「周りが行くから」
ではなく、
「自分は大学院で何を得たいのか?」
を一度考えてみてほしいです。
5. 大学院に行かなかった場合、後悔することはある?
ここまで読むと、
「それなら大学院には行かない方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、反対に「大学院へ進学しておけばよかった」と感じるケースも考えられます。
私自身は大学院へ進学しているため、「大学院へ行かなかった後悔」を実体験として語ることはできません。
ただし、進路を考えるうえでは、進学した場合だけでなく、進学しなかった場合にどのような選択肢の違いが生じるのかも確認しておくことが大切です。
例えば、学部卒で就職したあとに、
「もっと専門分野を勉強しておけばよかった」
「やっぱり研究を続けてみたかった」
「希望する仕事を目指すうえで、大学院で専門性を深めておけばよかった」
と感じる可能性もあります。
そのため、
「大学院に行けば後悔するのか、行かなければ後悔するのか」
だけで判断するのは難しいと思います。
重要なのは、自分が将来やりたいことから逆算して考えることです。
例えば興味のある企業や職種があるなら、実際の募集要項や採用情報を確認して、
「学部卒でも応募できるのか」
「修士卒ではどのような仕事に就いているのか」
「大学院での研究経験がどの程度求められるのか」
を調べてみると判断しやすくなります。
「何となく大学院へ行く」「何となく大学院へ行かない」のではなく、進学した場合と就職した場合の両方を具体的に調べて比較することが大切です。
6. 大学院に進学するか迷ったときに確認したいこと
大学院へ進学するか迷っている場合は、進学を決める前にいくつか確認しておくことをおすすめします。
特に確認してほしいのは、研究内容・研究室・将来の仕事・費用です。
研究内容
興味を持てそうな研究テーマがあるかを確認します。
研究室のWebサイトを見るだけでなく、可能であれば実際の研究内容について先生や先輩に聞いてみるといいでしょう。
研究室の雰囲気
同じ大学・同じ専攻でも、研究室によって雰囲気は大きく異なる場合があります。
研究室を訪問できるのであれば、
「学生は普段どのように研究しているのか」
「ゼミはどのくらいの頻度で行われるのか」
「卒業生はどのような進路へ進んでいるのか」
などを確認してみると参考になります。
希望する仕事
興味のある企業や職種について、学部卒と大学院卒で違いがあるのかを調べてみましょう。
「理系だから大学院」という基準ではなく、自分がやりたい仕事に大学院進学が必要なのか・役立つのかという視点で考えることが重要です。
学費や生活費
大学院へ進学する場合は、学費だけでなく、その間の生活費についても考える必要があります。
奨学金や授業料免除など、利用できる制度がないかについても事前に調べておきましょう。
大学院に行くべきか迷ったら「周りがどうするか」ではなく、自分が大学院で何をしたいのか、大学院での経験が将来やりたいことにつながるのかを基準に考えてみましょう。
まとめ
今回は、大学院に進学するメリット・デメリットと、実際に理系大学院を修了した私自身の経験について紹介しました。
大学院には、専門分野を深く学べることや、研究を通して論理的に考える力を鍛えられるといったメリットがあります。
一方で、研究に興味を持てない場合には大学院生活がつらくなる可能性がありますし、学費や時間も必要になります。
私自身は、明確な目的を持たないまま大学院へ進学したため、進学を後悔した時期がありました。
だからといって、
「大学院には行かない方がいい」
ということではありません。
研究したいことがある人や、大学院での専門性を将来の仕事に活かしたい人にとっては、大学院への進学が有力な選択肢になるでしょう。
反対に、
「周りが進学するから」
「何となく大学院卒の方がよさそうだから」
という理由だけであれば、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。
大学院に行くかどうかを決めるうえで大切なのは、
「大学院へ行くこと」そのものを目的にするのではなく、その先で自分が何をしたいのかを考えること
だと思います。
進学する場合と学部卒で就職する場合の両方を調べたうえで、自分が納得できる進路を選んでみてください。