sin3°やcos3°の値は求められるのでしょうか?
3°という角度は、有名角のように直接的な値を持たないため、一見すると求めるのが難しそうに見えます。
しかし、すでに知られている角度をうまく組み合わせることで、これらの値を導出することが可能です。
本記事では、3°=18°−15° に着目し、加法定理を利用して sin3°・cos3°・tan3° の値を丁寧に導出していきます。
既に学習した内容を活用しながら理解できる構成になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
本記事で求めるsin3°、cos3°、tan3°の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16} \\ \\
\displaystyle \cos 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16} \\ \\
\displaystyle \tan 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}
\end{eqnarray}
目次
■sin3°、cos3°、tan3°を求める方針
冒頭でも軽く触れた通り、本記事では \(3^\circ=18^\circ-15^\circ\) であることを利用し、加法定理を用いて導いていきます。
ただし、tan3° については、\(\frac{\sin3^\circ}{\cos3^\circ}\) を利用して求める方針とします。
実は、sin3°、cos3°、tan3° の値の求め方は他にもあります。
例えば、sin9°、cos9°、tan9°の値が判明していれば、三倍角の公式を利用することで導くことができます。
以下の過去記事で、「三倍角の公式の証明」と「sin9°、cos9°、tan9° の値」については解説済みですので、体力がある方は是非挑戦してみて下さい。
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今回は、\(3^\circ=18^\circ-15^\circ\) であることを利用し、加法定理を利用して導いていきます。
■加法定理の復習
まずは三角関数の加法定理についてですが、実はこちらは既に別記事でまとめています。
以下の記事で丁寧に導出・証明しているので、気になる方は是非ご一読ください。
「そういえば、加法定理って何故成立するんだっけ?」という方におススメの記事となっています!
三角関数の加法定理(復習)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin(\alpha-\beta) &=& \sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\
\displaystyle \cos(\alpha-\beta) &=& \cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta \\
\displaystyle \tan(\alpha-\beta) &=& \displaystyle \frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta}
\end{eqnarray}
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■ sin18°、cos18° の値の確認
sin3°、cos3°、tan3° と求めるための前情報として、sin18°、cos18°、tan18° の値を確認しておきます。
これらの値については、以下の通りとなります。
「なんでこの値になるの?」と疑問に思う方は、以下の別記事で詳しくまとめていますので、よろしければお立ち寄り下さい。
本記事で導出する sin18°、cos18°、tan18° の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin18^{\circ}&=&\frac{\sqrt{5}-1}{4} \\
\displaystyle \cos18^{\circ}&=&\frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4} \\
\displaystyle \tan18^{\circ}&=&\frac{1}{\sqrt{5+2\sqrt{5}}}
\end{eqnarray}
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■ sin15°、cos15° の値の確認
sin3°、cos3°、tan3° と求めるためのもう1つの道具、sin15°、cos15°、tan15° の値についても確認しておきます。
これらの値については、以下の通りとなります。
こちらの値の導出方法についても以下の別記事で詳しくまとめていますので、興味がある方はお立ち寄り下さい。
本記事で導出する sin15°、cos15°、tan15° の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin15^{\circ}&=&\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} \\
\displaystyle \cos15^{\circ}&=&\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} \\
\displaystyle \tan15^{\circ}&=&2-\sqrt{3}
\end{eqnarray}
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■ sin3° の導出
上で確認した加法定理、および、18°、15° の時の三角関数の値を利用して、sin3° の値を求めていきます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 3^\circ &=& \sin (18^\circ-15^\circ) \\
\displaystyle &=& \sin 18^\circ \cos 15^\circ-\cos 18^\circ \sin 15^\circ \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{5}-1}{4} \cdot \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} - \frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4} \cdot \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} \\
\displaystyle &=& \frac{(\sqrt{5}-1)(\sqrt{6}+\sqrt{2})}{16} - \frac{\sqrt{6(10+2\sqrt{5})}-\sqrt{2(10+2\sqrt{5})}}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}}{16} - \frac{\sqrt{60+12\sqrt{5}}-\sqrt{20+4\sqrt{5}}}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16}
\end{eqnarray}
■ cos3° の導出
同様に、加法定理を利用して cos3° の値を求めていきます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos 3^\circ &=& \cos (18^\circ-15^\circ) \\
\displaystyle &=& \cos 18^\circ \cos 15^\circ+\sin 18^\circ \sin 15^\circ \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4} \cdot \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} + \frac{\sqrt{5}-1}{4} \cdot \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{6(10+2\sqrt{5})}+\sqrt{2(10+2\sqrt{5})}}{16} + \frac{(\sqrt{5}-1)(\sqrt{6}-\sqrt{2})}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{60+12\sqrt{5}}+\sqrt{20+4\sqrt{5}}}{16} + \frac{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16}
\end{eqnarray}
となる。
■ tan3° の導出
tan3° については、\(\frac{\sin3^\circ}{\cos3^\circ}\) を利用して求めると簡単です。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan 3^\circ &=& \frac{\sin 3^\circ}{\cos 3^\circ} \\
\displaystyle &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}
\end{eqnarray}
■結果まとめと値の確認
三角関数の加法定理を利用することで、sin3°、cos3°、tan3° の値は以下の通り求めることができました。
先ほど求めた sin3°、cos3°、tan3°の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16} \tag{1} \\ \\
\displaystyle \cos 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16} \tag{2} \\ \\
\displaystyle \tan 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}} \tag{3}
\end{eqnarray}
ただ、これらの値って、本当に合っているのでしょうか?
それを確認するため、根号の値を小数第6位までの小数で表し、それを(1)式~(3)式に当てはめてみて、最終的に他サイトの三角関数表を参照して、上式の正当性の確認を行ってみましょう。
筆者が電卓を用いて計算した結果を以下に記載していきます。
計算結果の小数第6位までを利用して計算していくこととします。
sin3° の値(小数形式)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16} \\
\displaystyle &≒& \frac{5.477225+3.162277-2.449489-1.414213-2\sqrt{15+3 \times 2.236067}+2\sqrt{5+2.236067}}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{4.7758-2\sqrt{21.708201}+2\sqrt{7.236067}}{16} \\
\displaystyle &≒& \frac{4.7758-9.318412+5.379987}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{0.837375}{16} \\
\displaystyle &≒& 0.052336 \tag{4}
\end{eqnarray}
cos3° の値(小数形式)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos 3^\circ &=& \frac{\sqrt{30}-\sqrt{10}-\sqrt{6}+\sqrt{2}+2\sqrt{15+3\sqrt{5}}+2\sqrt{5+\sqrt{5}}}{16} \\
\displaystyle &≒& \frac{5.477225-3.162277-2.449489+1.414213+2\sqrt{15+3 \times 2.236067}+2\sqrt{5+2.236067}}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{1.279672+2\sqrt{21.708201}+2\sqrt{7.236067}}{16} \\
\displaystyle &≒& \frac{1.279672+9.318412+5.379987}{16} \\
\displaystyle &=& \frac{15.978071}{16} \\
\displaystyle &≒& 0.998629 \tag{5}
\end{eqnarray}
tan3° の値(小数形式)
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan 3^\circ &=& \frac{\sin 3^\circ}{\cos 3^\circ} \\
\displaystyle &≒& \frac{0.052336}{0.998629} \\
\displaystyle &≒& 0.052408 \tag{6}
\end{eqnarray}
国立大学が公表している三角関数表の値との比較
千葉大学理学部数学・情報物理学科の公式HPに載っている三角関数表を参考に、
上で求めた(4)式~(6)式の値が一致しているか、確認していきます。
上記サイト内では、sin3°、cos3°、tan3° の値はそれぞれ以下の通り記載されています。
千葉大学が公表している sin3°、cos3°、tan3° の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 3^\circ &=& 0.0523 \\
\displaystyle \cos 3^\circ &=& 0.9986 \\
\displaystyle \tan 3^\circ &=& 0.0524
\end{eqnarray}
(4)式~(6)式の値と比較してみると、ほぼほぼ一致した結果となっていることがわかります。
■まとめ
本記事では、3°という一見扱いづらい角度について、18°と15°の差として捉えることで、加法定理を用いて sin3°・cos3°・tan3° の値を導出しました。
このように三角関数では、既に求めた角度の値を組み合わせることで、新たな角度の値を求めることができます。今回の内容を通して、公式の使い方や考え方への理解がより深まったのではないでしょうか。
ぜひ他の記事も参考にしながら、様々な角度の値の求め方にチャレンジしてみてください。
ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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