二次関数の問題を解いていると、「平方完成」という計算方法が登場することがあります。
平方完成とは、二次式を
\[ a(x-p)^2+q \]
という形に変形することです。
例えば、
\[ x^2+6x+5 \]
という式は、平方完成によって
\[ (x+3)^2-4 \]
と変形できます。
平方完成を使うと、二次関数の頂点の座標や、最大値・最小値を簡単に求められるようになります。
しかし、初めて平方完成を学ぶと、
「どのような手順で計算すればよいのか?」
「\(x^2\) の係数が1でない場合はどうすればよいのか?」
「分数が含まれる場合はどう計算するのか?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、平方完成の基本的なやり方から、係数が1でない場合や分数を含む場合まで、具体例を使ってわかりやすく解説します。
さらに、平方完成を利用して二次関数の頂点を求める方法も紹介します。
1. 平方完成とは?
平方完成とは、二次式を「一次式の2乗+定数」という形に変形することです。
一般的な二次式
\[ ax^2+bx+c \quad (a\neq0) \]
は、平方完成によって
\[ \boxed{a(x-p)^2+q} \]
という形に変形できます。
ここで、\(a,p,q\) は定数です。
例えば、
\[ x^2+4x+7 \]
という式を平方完成すると、
\[ (x+2)^2+3 \]
となります。
実際に平方完成した式を展開すると、
\[ \begin{aligned} (x+2)^2+3 &=x^2+4x+4+3\\ &=x^2+4x+7 \end{aligned} \]
となるので、元の式と等しいことが確認できます。
このように、式の値を変えずに、2乗の形が現れるように変形することが平方完成です。
平方完成は、特に二次関数のグラフの頂点や最大値・最小値を求める際に利用します。
2. 平方完成の基本的なやり方
まずは、\(x^2\) の係数が \(1\) の場合を考えましょう。
例として、次の式を平方完成します。
\[ x^2+6x+5 \]
2.1 \(x\) の係数を半分にする
最初に、\(x\) の係数である \(6\) を半分にします。
\[ 6\div2=3 \]
この \(3\) を使って、\((x+3)^2\) という形を作ります。
なぜ係数を半分にするのかというと、展開公式
\[ (x+a)^2=x^2+2ax+a^2 \]
を利用するためです。
\((x+a)^2\) を展開すると、\(x\) の係数は \(2a\) になります。
そのため、元の式の \(x\) の係数を半分にすれば、括弧の中に入る数が求められます。
2.2 2乗の形を作る
先ほど求めた \(3\) を使って、
\[ (x+3)^2 \]
を作ります。
ただし、
\[ (x+3)^2=x^2+6x+9 \]
なので、元の式の \(x^2+6x\) よりも \(9\) だけ大きくなっています。
そこで、\(9\) を引いて調整します。
\[ x^2+6x=(x+3)^2-9 \]
2.3 残りの定数を整理する
元の式には \(+5\) があるので、
\[ \begin{aligned} x^2+6x+5 &=(x+3)^2-9+5\\ &=(x+3)^2-4 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \boxed{x^2+6x+5=(x+3)^2-4} \]
これで平方完成ができました。
3. \(x^2\) の係数が1でない場合の平方完成
次に、\(x^2\) の係数が \(1\) でない場合を考えます。
例えば、
\[ 2x^2+8x+3 \]
という式です。
この場合は、最初に \(x^2\) の係数でくくることがポイントです。
3.1 \(x^2\) の係数でくくる
まず、\(x^2\) と \(x\) を含む項を2でくくります。
\[ 2x^2+8x+3=2(x^2+4x)+3 \]
このとき、定数項の \(+3\) は括弧の外に残しておきます。
3.2 括弧の中を平方完成する
括弧の中の
\[ x^2+4x \]
を平方完成します。
\(x\) の係数 \(4\) を半分にすると \(2\) なので、
\[ \begin{aligned} x^2+4x &=(x+2)^2-4 \end{aligned} \]
となります。
3.3 外側の係数を掛けて整理する
これを元の式に代入すると、
\[ \begin{aligned} 2x^2+8x+3 &=2(x^2+4x)+3\\ &=2\{(x+2)^2-4\}+3\\ &=2(x+2)^2-8+3\\ &=2(x+2)^2-5 \end{aligned} \]
したがって、
\[ \boxed{2x^2+8x+3=2(x+2)^2-5} \]
となります。
なお、\(x^2\) の係数が負の場合も同様です。
例えば、
\[ \begin{aligned} -x^2+6x+2 &=-(x^2-6x)+2\\ &=-\{(x-3)^2-9\}+2\\ &=-(x-3)^2+11 \end{aligned} \]
となります。
マイナスでくくった場合は、括弧を外すときの符号に注意しましょう。
4. 分数を含む場合の平方完成
分数を含む場合も、基本的な考え方は同じです。
例えば、
\[ x^2+3x+2 \]
を平方完成してみましょう。
\(x\) の係数 \(3\) を半分にすると、
\[ \frac32 \]
となります。
したがって、
\[ \begin{aligned} x^2+3x+2 &=\left(x+\frac32\right)^2-\left(\frac32\right)^2+2\\ &=\left(x+\frac32\right)^2-\frac94+\frac84\\ &=\left(x+\frac32\right)^2-\frac14 \end{aligned} \]
よって、
\[ \boxed{x^2+3x+2=\left(x+\frac32\right)^2-\frac14} \]
となります。
このように、\(x\) の係数を半分にした結果が分数になっても、そのまま計算すれば問題ありません。
4.1 \(x^2\) の係数が分数の場合
次の式を考えます。
\[ \frac12x^2+3x+1 \]
まず、\(x^2\) と \(x\) を含む項を \(\frac12\) でくくります。
\[ \frac12x^2+3x+1=\frac12(x^2+6x)+1 \]
括弧の中を平方完成すると、
\[ \begin{aligned} \frac12x^2+3x+1 &=\frac12\{(x+3)^2-9\}+1\\ &=\frac12(x+3)^2-\frac92+1\\ &=\frac12(x+3)^2-\frac72 \end{aligned} \]
したがって、
\[ \boxed{\frac12x^2+3x+1=\frac12(x+3)^2-\frac72} \]
となります。
分数が含まれていても、計算手順自体は変わりません。
5. 平方完成を使った二次関数の頂点の求め方
平方完成は、二次関数の頂点を求める際に特に役立ちます。
二次関数
\[ y=a(x-p)^2+q \]
のグラフは、頂点が
\[ \boxed{(p,q)} \]
となる放物線です。
例えば、
\[ y=x^2+6x+5 \]
を考えましょう。
平方完成すると、
\[ y=(x+3)^2-4 \]
となります。
これは、
\[ y=(x-(-3))^2-4 \]
と表せるので、頂点の座標は
\[ \boxed{(-3,-4)} \]
です。
また、平方完成によって最大値・最小値も求められます。
例えば、
\[ y=(x+3)^2-4 \]
では、
\[ (x+3)^2\geq0 \]
なので、
\[ y\geq-4 \]
となります。
等号が成立するのは \(x=-3\) のときです。
したがって、最小値は
\[ \boxed{-4} \]
となります。
このように、平方完成によって二次関数の性質を簡単に調べられます。
6. 平方完成の練習問題
最後に、ここまで学んだ内容を練習問題で確認しましょう。
次の二次式を平方完成してください。
【問題1】\(x^2+8x+10\)
【問題2】\(x^2-4x+7\)
【問題3】\(3x^2+12x+5\)
【問題4】\(x^2+5x+1\)
【問題5】\(-2x^2+8x-1\)
まとめ
この記事では、平方完成の基本的なやり方から、係数が \(1\) でない場合や分数を含む場合、二次関数への応用まで解説しました。
平方完成のポイントは、次の3つです。
- \(x^2\) の係数が1でない場合は、\(x^2\) と \(x\) の項をその係数でくくる。
- 括弧の中の \(x\) の係数を半分にして、2乗の形を作る。
- 2乗の形を作ったことで増えた定数を引き、式全体の値が変わらないようにする。
これらの手順を理解すれば、さまざまな二次式を平方完成できるようになります。
また、平方完成は二次関数の頂点や最大値・最小値を求める際にも役立ちます。
基本的な計算に慣れたら、練習問題を繰り返し解いて理解を深めましょう。