これまで sin18° とか sin9° とかの厳密解を他記事で頑張って導出してきました。
この調子で sin10° の厳密解も、、、と思い、調べてみましたが、どうも厳密解の中に虚数が出てきてしまうようです。
しかし、最終的な回答としては実数となります。これについては簡単に証明できます。
そしてさらに不思議なことに、sin10° の厳密解を求める流れで「sin50°」、「sin70°」も求められる、、、?
本記事では以下の流れで、sin10° の厳密解を導出してみたいと思います。
- 三倍角の公式の確認
- θ=10° として、三倍角の公式を適用(\(8x^3-6x+1=0\) の方程式の導出)
- 3次方程式の解の公式(カルダノの公式)の使い方の確認
- 3次方程式【\(8x^3-6x+1=0\)】について、カルダノの公式を利用して解を求める
- 3次方程式【\(8x^3-6x+1=0\)】の3つの解の調査(解は実数?虚数?どのような値になる?)
- 出てきた3つの解のうち、どれが \(\sin10^\circ\) の値か調査
- 調査結果の深堀り(何故 \(\sin10^\circ, \sin50^\circ, \sin70^\circ\) の値が解として出てくるの?)
本記事で求める sin10°、sin50°、sin70° の値
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 10^\circ &=& \frac{1}{2} \omega^2 \sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2} \omega \sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i}&=&\frac{1}{2} \omega^{\frac{7}{3}}+\frac{1}{2} \omega^{\frac{5}{3}} \\
\displaystyle \sin 50^\circ &=& \frac{1}{2} \sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2} \sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i}&=&\frac{1}{2} \omega^{\frac{1}{3}}+\frac{1}{2} \omega^{\frac{2}{3}} \\
\displaystyle \sin 70^\circ &=& -\frac{1}{2} \omega \sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}-\frac{1}{2} \omega^2 \sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i}&=&-\frac{1}{2} \omega^{\frac{4}{3}}-\frac{1}{2} \omega^{\frac{8}{3}} \\
\\
\end{eqnarray}
※ただし、\(\displaystyle \omega=-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\)
目次
■三倍角の公式の確認
\(\sin3\theta\) と \(\sin\theta\) の間には、以下の関係式が成立します。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 3\theta &=& - 4\sin^3 \theta + 3\sin \theta \tag{1}
\end{eqnarray}
これは三倍角の公式と呼ばれるもので、加法定理から簡単に導出可能です。
本公式については以下記事で丁寧に解説しているので、よろしければお立ち寄りください。
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■ θ=10° として、三倍角の公式に代入
\(\theta=10^\circ\) として、(1)式に代入してみると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 30^\circ &=& - 4\sin^3 10^\circ + 3\sin 10^\circ \tag{2}
\end{eqnarray}
となります。\(\sin 30^\circ=\frac{1}{2}\) であるため、\(x:=\sin 10^\circ\) と置いて(2)式に代入すると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{1}{2} &=& - 4x^3 + 3x
\end{eqnarray}
となり、この式を整理すると以下のような3次方程式が出てきます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 8x^3-6x+1 &=& 0 \tag{3}
\end{eqnarray}
(3)式は3次方程式のため、解は最大で3つ出てきますが、(3)式の解の1つが \(\sin 10^\circ\) の値のはずですよね。
目的は \(\sin 10^\circ\) の値を求めることであるため、この(3)式の解を求めたいのですが、、、パッと回答が出そうもありません。
そこで、3次方程式の解の公式「カルダノの公式」を利用して、無理やり解を求めていこうと思います。
■3次方程式の解の公式(カルダノの公式)の確認
3次方程式『\(ax^3+bx^2+cx+d=0\)』の解は、以下の手順で求めることができます。
上記手順で、3次方程式の解を求めることができます。
「何故上記手順で3次方程式の解が求められるのか?」については、以下記事で丁寧に解説しているため、よろしければお立ち寄りください!
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■【\(8x^3-6x+1=0\)】を、カルダノの公式を利用して解く
それでは、(3)式を上で確認した手順で \(x\) について解いてみましょう。
今回は \(x^2\) の係数が0のため、比較的簡単に解くことができそうです。
虚数や3重根が出てきてしまいましたが、解は出てきました。
しかし、解の中に虚数 \(i\) が含まれているため、「そもそもこの3種の解、実数なの?虚数なの?」という疑問が生じると思います。
この疑問を解消するため、【\(8x^3-6x+1=0\)】の実数解の個数を調べてみることにしましょう。
■【\(8x^3-6x+1=0\)】の実数解の個数を調べる
以下の通り \(f(x)\) を定義して \(x\) について微分し、増減表を作成して確認してみましょう。
\begin{eqnarray}
\displaystyle f(x) &=& 8x^3-6x+1 \\
\end{eqnarray}
これを \(x\) で微分すると
\begin{eqnarray}
\displaystyle f'(x) &=& 24x^2-6 \\
\displaystyle &=& 6(4x^2-1) \\
\displaystyle &=& 6(2x+1)(2x-1)
\end{eqnarray}
これを元に増減表を作成すると、以下の通りとなります。
| \(x\) | ・・・ | \(-1\) | ・・・ | -\(\frac{1}{2}\) | ・・・ | \(0\) | ・・・ | \(\frac{1}{2}\) | ・・・ | \(1\) | ・・・ |
| \(f'(x)\) | + | + | 0 | - | - | 0 | + | + | |||
| \(f(x)\) | \(\nearrow\) | \(-1\) | \(\nearrow\) | \(3\) | \(\searrow\) | \(1\) | \(\searrow\) | \(-1\) | \(\nearrow\) | \(3\) | \(\nearrow\) |
上の増減表を元にグラフを描いてみると、以下のようになります。。

※上記グラフ描写は、以下サイトのツールを使用させていただきました。
GeoGebra:<https://www.geogebra.org/graphing?lang=ja>
上のグラフから(もしくは増減表から)、\(8x^3-6x+1=0\) は異なる3つの実数解を持つことがわかります。
また併せて、以下の情報も判明します。
- 異なる3つの実数解はいずれも \(-1<x<1\) の範囲内に存在する。
- もう少し具体的には、解の1つは \(-1<x<-\frac{1}{2}\)、もう1つは \(0<x<\frac{1}{2}\)、残りの1つは \(\frac{1}{2}<x<1\) の範囲に存在する。
これも実は重要なポイントです。なぜなら上記3つの解のうちの1つは \(\sin10^\circ\) の値のはずであり、その値は \(0<x<\frac{1}{2}\) の範囲に存在するからです。(なぜなら、\(\frac{1}{2}=\sin30^\circ\) であるためです)
だいぶ真相に迫ってきました。それではいよいよ、\(x_1, x_2, x_3\) のうちのどれが \(\sin10^\circ\) の値なのか、調査してみましょう。
■ sin10° の値がどれかを調べる
先ほどカルダノの公式から、(3)の3次方程式の解は以下であることが判明しました。
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_1&=&\frac{1}{2}\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \tag{4} \\
\displaystyle x_2&=&\frac{1}{2}\omega\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\omega^2\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \tag{5} \\
\displaystyle x_3&=&\frac{1}{2}\omega^2\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\omega\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \tag{6}
\end{eqnarray}
また上記の3つの解はいずれも実数であり、かついずれも \(-1<x_i<1\) の範囲に存在することも先ほど確認しました。
これらの情報を前提として、\(x_1\) から調べてみましょう。
\(x_1\) の値の調査
まずは \(\omega\) の値がなく、比較的とっつき易そうな \(x_1\) について調べて見ましょう。
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_1&=&\frac{1}{2}\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \tag{4}
\end{eqnarray}
(4)式の3重根号の中身は、以下の通り書き換えることができます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle -\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i=\cos \frac{2}{3}\pi+i\sin \frac{2}{3}\pi=e^{i \times \frac{2}{3}\pi} \tag{7} \\
\displaystyle -\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i=\cos \frac{2}{3}\pi-i\sin \frac{2}{3}\pi=e^{-i \times \frac{2}{3}\pi} \tag{8}
\end{eqnarray}
(7)式の最後の変形には、オイラーの公式を用いています。オイラーの公式についてよくわからないという方は、以下で丁寧に解説しているため、宜しければ立ち寄ってみて下さい!
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(7)式、(8)式を(4)式に代入して整理してみると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_1&=&\frac{1}{2}\sqrt[3]{e^{i \times \frac{2}{3}\pi}}+\frac{1}{2}\sqrt[3]{e^{-i \times \frac{2}{3}\pi}} \\
\displaystyle &=&\frac{1}{2}e^{i \times \frac{2}{9}\pi}+\frac{1}{2}e^{-i \times \frac{2}{9}\pi}
\end{eqnarray}
となり、3重根号が取れます。これをまたオイラーの公式を用いて三角関数で表現してみると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_1&=&\frac{1}{2}e^{i \times \frac{2}{9}\pi}+\frac{1}{2}e^{-i \times \frac{2}{9}\pi} \\
\displaystyle &=&\frac{1}{2}(\cos \frac{2}{9}\pi+i\sin \frac{2}{9}\pi)+\frac{1}{2}(\cos \frac{2}{9}\pi-i\sin \frac{2}{9}\pi) \\
\displaystyle &=&\cos \frac{2}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos 40^\circ \\
\displaystyle &=&\sin 50^\circ
\end{eqnarray}
となり、とてもキレイな形にまとまります。
ただし、最後の \(\cos 40^\circ\) から \(\sin 50^\circ\) の変形は以下の公式を利用しています。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos \theta = \sin (90^\circ-\theta)
\end{eqnarray}
以上より、\(x_1\) の値は \(\sin 50^\circ\) であったことが判明しました。
\(x_2\) の値の調査
続いて、\(x_2\) の値についての調査です。(再掲しますが、\(\displaystyle \omega=-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\) です。)
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_2&=&\frac{1}{2}\omega\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\omega^2\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \tag{5}
\end{eqnarray}
ここで、(7)式、(8)式の関係式を代入し、かつ \(\omega\) の値も \(\displaystyle \omega=-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\) を代入して整理してみると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_2&=&\frac{1}{2}\omega\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\omega^2\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \\
\displaystyle &=&\frac{1}{2}(-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i)(\cos \frac{2}{9}\pi+i\sin \frac{2}{9}\pi)+\frac{1}{2}(-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i)(\cos \frac{2}{9}\pi-i\sin \frac{2}{9}\pi) \\
\displaystyle &=&\frac{1}{4}(-\cos \frac{2}{9}\pi-i\sin \frac{2}{9}\pi+\sqrt{3}i\cos \frac{2}{9}\pi-\sqrt{3}\sin \frac{2}{9}\pi)+\frac{1}{4}(-\cos \frac{2}{9}\pi+i\sin \frac{2}{9}\pi-\sqrt{3}i\cos \frac{2}{9}\pi-\sqrt{3}\sin \frac{2}{9}\pi) \\
\displaystyle &=&\underset{\color{red}{=\cos \frac{2}{3}\pi}}{\underline{-\frac{1}{2}}}\cos \frac{2}{9}\pi-\underset{\color{red}{=\sin \frac{2}{3}\pi}}{\underline{\frac{\sqrt{3}}{2}}}\sin \frac{2}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos \frac{2}{3}\pi \cos \frac{2}{9}\pi-\sin \frac{2}{3}\pi \sin \frac{2}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos \left(\frac{2}{3}\pi+\frac{2}{9}\pi\right) \\
\displaystyle &=&\cos \frac{8}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos 160^\circ \\
\displaystyle &=&-\cos 20^\circ \\
\displaystyle &=&-\sin 70^\circ
\end{eqnarray}
ただし、途中の式変形では以下の「余弦の加法定理」を利用しています。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos (\alpha+\beta) = \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta
\end{eqnarray}
この関係式が何故成立するかの証明は以下記事でまとめていますので、気になる方は是非お立ち寄り下さい。
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以上より、\(x_2\) の値は \(-\sin 70^\circ\) であったことが判明しました。
\(x_3\) の値の調査
続いて、\(x_3\) の値についての調査です。
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_3&=&\frac{1}{2}\omega^2\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\omega\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \tag{6}
\end{eqnarray}
ここで、(7)式、(8)式の関係式を代入し、かつ \(\omega\) の値も \(\displaystyle \omega=-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\) を代入して整理してみると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle x_3&=&\frac{1}{2}\omega^2\sqrt[3]{-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i}+\frac{1}{2}\omega\sqrt[3]{-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i} \\
\displaystyle &=&\frac{1}{2}(-\frac{1}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}i)(\cos \frac{2}{9}\pi+i\sin \frac{2}{9}\pi)+\frac{1}{2}(-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i)(\cos \frac{2}{9}\pi-i\sin \frac{2}{9}\pi) \\
\displaystyle &=&\frac{1}{4}(-\cos \frac{2}{9}\pi-i\sin \frac{2}{9}\pi-\sqrt{3}i\cos \frac{2}{9}\pi+\sqrt{3}\sin \frac{2}{9}\pi)+\frac{1}{4}(-\cos \frac{2}{9}\pi+i\sin \frac{2}{9}\pi+\sqrt{3}i\cos \frac{2}{9}\pi+\sqrt{3}\sin \frac{2}{9}\pi) \\
\displaystyle &=&\underset{\color{red}{=\cos \frac{2}{3}\pi}}{\underline{-\frac{1}{2}}}\cos \frac{2}{9}\pi+\underset{\color{red}{=\sin \frac{2}{3}\pi}}{\underline{\frac{\sqrt{3}}{2}}}\sin \frac{2}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos \frac{2}{3}\pi \cos \frac{2}{9}\pi+\sin \frac{2}{3}\pi \sin \frac{2}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos \left(\frac{2}{3}\pi-\frac{2}{9}\pi\right) \\
\displaystyle &=&\cos \frac{4}{9}\pi \\
\displaystyle &=&\cos 80^\circ \\
\displaystyle &=&\sin 10^\circ
\end{eqnarray}
つまり、\(x_3\) の値こそが、求めたかった \(\sin 10^\circ\) の値であることが判明しました。
■ (補足)なぜ sin10° の他に sin50°, sin70° の値も出てくるの?
最後に、何故3つの解が \(\sin 10^\circ, \sin 50^\circ, -\sin 70^\circ\) となったのか、考えて見ましょう。
、、、といっても話は難しくなく、非常にシンプルです。
(2)式を以下に再掲してみましょう。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 30^\circ &=& - 4\sin^3 10^\circ + 3\sin 10^\circ \tag{2}
\end{eqnarray}
これは三倍角の公式において、\(\theta=10^\circ\) とした結果、(2)式になったのでした。
では、何故 \(\theta=10^\circ\) と置いたんでしたっけ?
、、、そう、それは(2)式の左辺を \(\sin30^\circ\)、つまり \(\displaystyle \frac{1}{2}\) という、キレイな形にしたかったからに他なりません。
ただ、三角関数に精通している方であればここで疑問が生じると思います。
「あれ?確か \(\sin150^\circ\) も \(\displaystyle \frac{1}{2}\) の値とるよな?」と。
そう、つまり、三倍角の公式に対し \(\theta=50^\circ\) を代入すると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin 150^\circ &=& - 4\sin^3 50^\circ + 3\sin 50^\circ \tag{9}
\end{eqnarray}
となり、(9)式の左辺も(2)式の左辺と同じ値(\(\displaystyle =\frac{1}{2}\))になるため、(9)式で \(\displaystyle x:=\sin50^\circ\) と置くと、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 8x^3-6x+1 &=& 0
\end{eqnarray}
となり、本記事の主役となった(3)の3次方程式と全く同じものが導けます。
これが、(3)の3次方程式の解の1つが \(\sin50^\circ\) であったことの理由です。
\(-\sin70^\circ\) が(3)の3次方程式の解の1つである理由も同様に考えることができます。
具体的には、三倍角の公式において \(\theta=250^\circ\) を代入してみてください。
そうすると左辺は \(\displaystyle =\frac{1}{2}\) となり、\(\displaystyle x:=\sin250^\circ\) と置くと、(3)式と同じ式が導けるはずですので、気になる方は各自で確認してみて下さい。
「あれ?これだと求められるのは \(-\sin70^\circ\) じゃなくて \(\sin250^\circ\) じゃないの?」という方のために、一応補足です。
\(\displaystyle \sin250^\circ\) と \(\displaystyle \sin70^\circ\) の間には以下の関係式が成立します。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin250^\circ = \sin(70^\circ+180^\circ) = -\sin70^\circ
\end{eqnarray}
■ まとめ
少し長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。
本記事では、一応 \(\sin10^\circ\) の値の厳密解は虚数 \(i\) を用いて表現できることがわかりました。
また \(\sin10^\circ\) の値を求める過程で、\(\sin50^\circ\) と \(-\sin70^\circ\) の値も求められることもわかりました。
1つの方程式から3種の三角比の厳密解を求められるのには驚きですね。
これらの値を用いて別の角度の三角比の値も求めることができそうですので、興味がある方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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