数と式・方程式

解と係数の関係とは?
公式の証明・使い方・例題をわかりやすく解説

二次方程式を解くとき、因数分解や解の公式を使って解を求めることが多いと思います。

しかし、二次方程式には、実際に方程式を解かなくても、解の和や積を求められる性質があることをご存じでしょうか?

この性質を「解と係数の関係」といいます。

例えば、次の二次方程式を考えてみましょう。

\[ x^2-5x+6=0 \]

この方程式の解は \(x=2,3\) なので、解の和と積はそれぞれ

\[ 2+3=5 \]

\[ 2\times3=6 \]

となります。

実は、この「5」と「6」は、方程式の係数から直接求めることができます。

しかし、

「なぜ係数だけで解の和や積がわかるのか?」

「解と係数の関係はどのような問題で使うのか?」

「三次方程式でも同じような関係が成り立つのか?」

と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、解と係数の関係の基本公式と使い方を具体例とともに解説した後、公式の証明や三次方程式への応用について説明します。

1. 解と係数の関係とは?

解と係数の関係とは、方程式の解の和や積を、方程式の係数を使って表すことができる関係のことです。

まずは、二次方程式の場合について考えてみましょう。

1.1 二次方程式の解と係数の関係

二次方程式

\[ ax^2+bx+c=0 \quad (a\neq0) \]

の2つの解を \(\alpha,\beta\) とします。

このとき、次の関係が成り立ちます。

\[ \boxed{\alpha+\beta=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta=\frac{c}{a}} \]

つまり、二次方程式の解を実際に計算しなくても、係数 \(a,b,c\) から解の和と積を求めることができます。

特に、\(x^2\) の係数が1の場合の二次方程式、

\[ x^2+bx+c=0 \]

の解と係数の関係は、

\[ \alpha+\beta=-b \]

\[ \alpha\beta=c \]

となります。

この形は計算が簡単なので、最初に覚えておくと便利です。

なお、2つの解が等しい場合(重解の場合)も、同じ公式が成り立ちます。

【発展】解が複素数の場合にも成り立つため、実数解を持たない二次方程式にも適用できます。


1.2 具体例で確認してみよう

例えば、次の二次方程式を考えます。

\[ x^2-7x+10=0 \]

この方程式を因数分解すると、

\[ (x-2)(x-5)=0 \]

となるため、2つの解は

\[ x=2,5 \]

です。

したがって、解の和と積は、

\[ 2+5=7 \]

\[ 2\times5=10 \]

となります。

一方、解と係数の関係を使うと、

\[ \alpha+\beta=-(-7)=7 \]

\[ \alpha\beta=10 \]

となり、実際に求めた解の和と積に一致します。

このように、解と係数の関係を使えば、方程式を解く手間を省くことができます。


2. 解と係数の関係の使い方

ここでは、解と係数の関係を使った代表的な問題を3つ紹介します。

2.1 解の和と積を求める問題

例題1

次の二次方程式の2つの解を \(\alpha,\beta\) とするとき、\(\alpha+\beta\) と \(\alpha\beta\) を求めなさい。

\[ 2x^2-6x+3=0 \]

解答

二次方程式

\[ ax^2+bx+c=0 \]

において、

\[ a=2,\quad b=-6,\quad c=3 \]

です。

解と係数の関係より、

\[ \alpha+\beta=-\frac{b}{a} \]

なので、

\[ \alpha+\beta=-\frac{-6}{2}=3 \]

また、

\[ \alpha\beta=\frac{c}{a} \]

より、

\[ \alpha\beta=\frac{3}{2} \]

となります。

したがって、答えは、

\[ \boxed{\alpha+\beta=3,\quad\alpha\beta=\frac{3}{2}} \]

です。

この問題では、二次方程式を解く必要はありません。


2.2 解の二乗の和を求める問題

例題2

次の二次方程式の2つの解を \(\alpha,\beta\) とするとき、\(\alpha^2+\beta^2\) を求めなさい。

\[ x^2-4x+1=0 \]

解答

解と係数の関係より、

\[ \alpha+\beta=4 \]

\[ \alpha\beta=1 \]

となります。

ここで、次の恒等式を利用します。

\[ \alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta \]

したがって、

\[ \begin{aligned} \alpha^2+\beta^2 &=4^2-2\times1\\ &=16-2\\ &=14 \end{aligned} \]

よって、

\[ \boxed{\alpha^2+\beta^2=14} \]

となります。

このように、解と係数の関係は、解の和や積だけでなく、解を使ったさまざまな式の値を求めるときにも役立ちます。


2.3 2つの解から二次方程式を作る問題

例題3

2つの解が \(2,5\) である二次方程式を、\(x^2\) の係数が1となる形で求めなさい。

解答

2つの解を \(\alpha,\beta\) とすると、

\[ \alpha=2,\quad\beta=5 \]

です。

解の和と積は、

\[ \alpha+\beta=2+5=7 \]

\[ \alpha\beta=2\times5=10 \]

となります。

ここで、\(x^2\) の係数が1である二次方程式は、

\[ x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta=0 \]

と表せます。

したがって、

\[ \boxed{x^2-7x+10=0} \]

となります。

なお、\(x^2\) の係数を1に限定しなければ、両辺に0でない定数を掛けた方程式も同じ解を持ちます。


3. 解と係数の関係の証明

ここからは、なぜ解と係数の関係が成り立つのかを証明していきます。

証明方法はいくつかありますが、今回は「因数分解を利用する方法」と「解の公式を利用する方法」の2つを紹介します。

3.1 因数分解を利用した証明

二次方程式

\[ ax^2+bx+c=0 \quad (a\neq0) \]

の2つの解を \(\alpha,\beta\) とします。

このとき、左辺は次のように因数分解できます。

\[ ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta) \]

右辺を展開すると、

\[ \begin{aligned} a(x-\alpha)(x-\beta) &=a\{x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\}\\ &=ax^2-a(\alpha+\beta)x+a\alpha\beta \end{aligned} \]

となります。

したがって、

\[ ax^2+bx+c=ax^2-a(\alpha+\beta)x+a\alpha\beta \]

です。

両辺の \(x\) の係数と定数項を比較すると、

\[ b=-a(\alpha+\beta) \]

\[ c=a\alpha\beta \]

となります。

ここで、\(a\neq0\) なので、両辺を \(a\) で割ると、

\[ \boxed{\alpha+\beta=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta=\frac{c}{a}} \]

が得られます。

以上で、解と係数の関係が証明できました。

この証明からわかるように、解と係数の関係は、因数分解した式を展開して係数を比較することで導かれます。


3.2 解の公式を利用した証明

次に、二次方程式の解の公式を利用して証明してみましょう。

二次方程式

\[ ax^2+bx+c=0 \quad (a\neq0) \]

の2つの解は、

\[ \alpha=\frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \]

\[ \beta=\frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \]

と表せます。

まず、2つの解の和を求めます。

\[ \begin{aligned} \alpha+\beta &=\frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a} +\frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\ &=\frac{-2b}{2a}\\ &=-\frac{b}{a} \end{aligned} \]

次に、2つの解の積を求めます。

\[ \begin{aligned} \alpha\beta &=\frac{(-b+\sqrt{b^2-4ac})(-b-\sqrt{b^2-4ac})}{4a^2}\\ &=\frac{b^2-(b^2-4ac)}{4a^2}\\ &=\frac{4ac}{4a^2}\\ &=\frac{c}{a} \end{aligned} \]

したがって、

\[ \boxed{\alpha+\beta=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta=\frac{c}{a}} \]

が得られます。

【発展】\(b^2-4ac<0\) の場合も、複素数の平方根を用いれば同様に計算できます。

以上より、解の公式を使っても解と係数の関係が証明できました。


4. 三次方程式の解と係数の関係

ここまでは二次方程式について説明してきましたが、解と係数の関係は三次方程式でも成り立ちます。

4.1 三次方程式の公式

三次方程式

\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \quad (a\neq0) \]

の3つの解を、重解や複素数の解も含めて \(\alpha,\beta,\gamma\) とします。

このとき、次の関係が成り立ちます。

\[ \boxed{\alpha+\beta+\gamma=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\frac{c}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta\gamma=-\frac{d}{a}} \]

二次方程式では解の和と積の2つの関係がありましたが、三次方程式では3つの関係が成り立ちます。


4.2 三次方程式の解と係数の関係の証明

三次方程式

\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \]

の3つの解を \(\alpha,\beta,\gamma\) とすると、左辺は次のように因数分解できます。

\[ ax^3+bx^2+cx+d=a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma) \]

まず、

\[ (x-\alpha)(x-\beta)=x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta \]

なので、

\[ \begin{aligned} &(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)\\ &=\{x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\}(x-\gamma)\\ &=x^3-(\alpha+\beta+\gamma)x^2\\ &\quad+(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)x-\alpha\beta\gamma \end{aligned} \]

となります。

両辺に \(a\) を掛けると、

\[ \begin{aligned} &ax^3+bx^2+cx+d\\ &=ax^3-a(\alpha+\beta+\gamma)x^2\\ &\quad+a(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)x-a\alpha\beta\gamma \end{aligned} \]

です。

係数を比較すると、

\[ b=-a(\alpha+\beta+\gamma) \]

\[ c=a(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha) \]

\[ d=-a\alpha\beta\gamma \]

となります。

したがって、

\[ \boxed{\alpha+\beta+\gamma=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\frac{c}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta\gamma=-\frac{d}{a}} \]

が得られます。

以上で、三次方程式の解と係数の関係も証明できました。


4.3 三次方程式での使用例

例題4

次の三次方程式の3つの解を \(\alpha,\beta,\gamma\) とするとき、解の和、2つずつの積の和、3つの解の積を求めなさい。

\[ 2x^3-4x^2-3x+6=0 \]

解答

係数を確認すると、

\[ a=2,\quad b=-4,\quad c=-3,\quad d=6 \]

です。

解と係数の関係より、

\[ \alpha+\beta+\gamma=-\frac{-4}{2}=2 \]

\[ \alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\frac{-3}{2} \]

\[ \alpha\beta\gamma=-\frac{6}{2}=-3 \]

となります。

したがって、

\[ \boxed{\alpha+\beta+\gamma=2} \]

\[ \boxed{\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=-\frac{3}{2}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta\gamma=-3} \]

です。

三次方程式の場合も、実際に方程式を解かずに解の和や積を求められることがわかります。


5. 解と係数の関係に関するよくある疑問

5.1 解が実数でなくても使える?

はい、使えます。

解と係数の関係は、解が複素数の場合にも成り立ちます。

例えば、

\[ x^2+4=0 \]

の2つの解は、

\[ \alpha=2i,\quad\beta=-2i \]

です。ただし、\(i\) は虚数単位で、\(i^2=-1\) を満たします。

このとき、

\[ \alpha+\beta=2i-2i=0 \]

\[ \alpha\beta=(2i)(-2i)=4 \]

となり、解と係数の関係に一致します。


5.2 重解の場合も使える?

はい、使えます。

例えば、

\[ x^2-6x+9=0 \]

は、

\[ (x-3)^2=0 \]

と因数分解できるので、\(x=3\) が重解です。

この場合、2つの解を重複して

\[ \alpha=3,\quad\beta=3 \]

と考えると、

\[ \alpha+\beta=6 \]

\[ \alpha\beta=9 \]

となり、解と係数の関係が成り立ちます。


5.3 四次方程式以上でも成り立つ?

はい、成り立ちます。

解と係数の関係は、四次方程式以上の高次方程式にも拡張できます。

一般に、\(n\) 次方程式の解と係数の関係は「ヴィエタの公式」と呼ばれます。

ただし、次数が高くなるほど関係式の数も増えるため、まずは二次方程式と三次方程式の場合を理解しておくとよいでしょう。


6. まとめ

この記事では、解と係数の関係について、公式の使い方から証明、三次方程式への応用まで解説しました。

二次方程式

\[ ax^2+bx+c=0 \quad (a\neq0) \]

の2つの解を \(\alpha,\beta\) とすると、

\[ \boxed{\alpha+\beta=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta=\frac{c}{a}} \]

が成り立ちます。

また、三次方程式

\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \quad (a\neq0) \]

の3つの解を \(\alpha,\beta,\gamma\) とすると、

\[ \boxed{\alpha+\beta+\gamma=-\frac{b}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\frac{c}{a}} \]

\[ \boxed{\alpha\beta\gamma=-\frac{d}{a}} \]

が成り立ちます。

解と係数の関係を利用すると、方程式を直接解かなくても、解の和や積、解を使った式の値などを求めることができます。

また、これらの公式は因数分解した式を展開し、係数を比較することで証明できます。

単に公式を暗記するだけでなく、なぜ成り立つのかを理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなるでしょう。

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