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【広義積分とは何?】
例題をもとにやり方・使い方を解説!

■広義積分って何?

広義積分とは、簡単に言葉で説明すると

「積分区間の端点(片方または両方)に対し、極限を取った定積分」

のことです。

数式だと、以下の形のものが広義積分と呼ばれるものです。
 ※あくまで一例です

\begin{equation}
\displaystyle \lim_{b\to t} \int_a^{b} f(x)dx (※上限極限パターン)\\
\displaystyle \lim_{a\to t} \int_a^{b} f(x)dx (※下限極限パターン) \\
\displaystyle \lim_{t\to \infty} \int_{-t}^{t} f(x)dx (※両端極限パターン)
\end{equation}

■広義積分を使うタイミングはどんなとき?

例えば、以下のような定積分があったとします。

\begin{equation}
\displaystyle \int_{0}^{\infty} e^{-x}dx \tag{1}
\end{equation}

これをそのまま計算すると、

\begin{equation}
\displaystyle \int_{0}^{\infty} e^{-x}dx = -[e^{-x}]_{0}^{\infty} = -(e^{-\infty}-1) = 1 \tag{2}
\end{equation}

となります。一方、(1)式を広義積分を用いて解いてみると、

\begin{equation}
\displaystyle \lim_{t\to \infty} \int_{0}^{t} e^{-x}dx = \lim_{t\to \infty} -[e^{-x}]_{0}^{t} = \lim_{t\to \infty} -(e^{-t}-1) = 1 \tag{3}
\end{equation}

となります。

この結果だけ見ると、広義積分を使った場合と使わない場合で結果は変わらないため、どちらを使用しても問題なさそうに見えますが、数学的に見ると(3)式の方がより正確な解き方となります。

理由としては、(2)式では途中で \(x=\infty\) とみなして回答しているのに対し、(3)式では \(x→\infty\)(\(x\)を限りなく\(\infty\)に近づける)としています。

\(x\)に0とか1とかの定数を代入する際には特に問題なく \(x=0\) とか \(x=1\) としてしまって問題ないのですが、\(\infty\) のような非定数を \(x=\infty\) のように扱うことは数学的には正しくありません。

そのため、積分区間として \(\infty\) とか \(-\infty\) が出てきた場合は、広義積分の形に変換することを意識すると良いですね。

■例題①:普通に解けちゃう広義積分

実はフライングで既に例題として出してしまった、(1)式がその「普通に解けちゃう広義積分」に該当します。

(2)式のような解き方は数学的に正しくないだけで、先ほど見た通り、そのまま計算しても結果としては広義積分を使った場合と同じ結果を得ることができます。

このように、特に広義積分を意識せずとも解けちゃう問題は特に注意は不要なのですが、次に示すような例題のように、広義積分を意識できていないと誤った回答となるケースもあります

■例題②:注意が必要な広義積分

以下の定積分の問題を考えてみましょう。

\begin{equation}
\displaystyle \int_{-1}^{1} \frac{1}{x^2}dx \tag{4}
\end{equation}

まず、上記式の誤答例を以下に示します。

\begin{equation}
\displaystyle \int_{-1}^{1} \frac{1}{x^2}dx = [-\frac{1}{x}]_{-1}^{1} = -(1+1) = -2 \tag{5}
\end{equation}

さて、(5)式のどこが間違っているかわかりますか?

そう、積分区間(-1~1)の間に、0が含まれていますが、被積分関数\(\dfrac{1}{x^2}\)は \(x=0\) で定義されないため、このまま積分をしてしまったことが誤り、となります。

じゃあどうすればよいのかというと、以下のように \(x=0\) を除いて計算できるように、広義積分を利用する形に(4)式を変形して解きます。

\begin{equation}
\displaystyle \int_{-1}^{1} \frac{1}{x^2}dx = \lim_{t\to 0} \int_{-1}^{-t} \frac{1}{x^2}dx + \lim_{t\to 0} \int_{t}^{1} \frac{1}{x^2}dx \tag{6}
\end{equation}

上式のように、積分区間(-1~1)を、積分区間①(-1~0)と積分区間②(0~1)の2つの区間に分割します。

そして、 \(x=0\) の部分を変数 \(t\) で置き換え、最終的に極限 \(t→0\) とすれば、計算が可能となるというわけです。

さて、最後に(6)式を計算してみましょう。はたして(5)式と同じ回答をなるのでしょうか、、?

\begin{eqnarray}
\displaystyle \int_{-1}^{1} \frac{1}{x^2}dx &=& \lim_{t\to 0} \int_{-1}^{-t} \frac{1}{x^2}dx + \lim_{t\to 0} \int_{t}^{1} \frac{1}{x^2}dx \\
\displaystyle &=& \lim_{t\to 0}[-\frac{1}{x}]_{-1}^{-t} + \lim_{t\to 0}[-\frac{1}{x}]_{t}^{1} \\
\displaystyle &=& \lim_{t\to 0} -(-\frac{1}{t} + 1) + \lim_{t\to 0} -(1-\frac{1}{t}) \\
\displaystyle &=& \lim_{t\to 0} (\frac{2}{t} - 2) \\
\displaystyle &\to& \infty
\end{eqnarray}

となり、解は発散します。

結果として、(5)式と(6)式で異なる回答となりました。で、結果として正しいのは(6)式の回答、となります。

■まとめ:広義積分を使いこなそう!

例題②の問題のように、被積分関数の定義域に注意し、必要に応じて広義積分を利用しないと解けない問題も存在します。

そのような場合はもちろん広義積分を利用する必要があるのですが、例題①で説明したように、積分端点が「\(\infty\)」、もしくは「\(-\infty\)」のような場合も、広義積分を用いることを推奨します。

広義積分を使うタイミングまとめ!

①積分端点が「\(\infty\)」、もしくは「\(-\infty\)」のような場合

②積分範囲内に、被積分関数が未定義の数値が含まれている場合

本記事が、皆様が広義積分を理解する参考となれば幸いです。

ここまで本記事を読んでいただき、ありがとうございました!

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