高校数学で積分を勉強すると、最初に登場するのが「不定積分」です。
たとえば、\[ \int x^2\,dx = \frac{x^3}{3}+C \]
のような計算をしたことがある方も多いと思います。
しかし、
「そもそも不定積分って何を求めているの?」
「原始関数と不定積分は何が違うの?」
「どうして最後に \(+C\) を付けるの?」
と疑問に思ったことはないでしょうか。
不定積分を理解するために重要なのは、微分との関係を理解することです。
不定積分では、ある関数を微分した結果から、微分する前の関数を逆に探していきます。
この記事では、不定積分とは何かを原始関数との違いから説明し、基本公式や実際の求め方まで、途中式を省略せずにわかりやすく解説します。
1. 不定積分とは?
まずは、不定積分とは何なのかを確認しましょう。
ある関数 \(F(x)\) を微分すると、\(f(x)\) になったとします。
つまり、\[ F'(x)=f(x) \]
という関係が成り立っているとします。
このとき、\(F(x)\) を \(f(x)\) の原始関数といいます。
たとえば、\[ F(x)=x^2 \]
を微分すると、\[ F'(x)=2x \]
となります。
したがって、\[ x^2 \]
は、\[ 2x \]
の原始関数の1つです。
では、不定積分とは何でしょうか。
\(f(x)\) の原始関数の1つを \(F(x)\) とすると、\(f(x)\) の不定積分は、\[ \boxed{ \int f(x)\,dx=F(x)+C } \]
と表されます。
ここで、\(C\) は積分定数と呼ばれる定数です。
つまり、不定積分とは簡単にいえば、
「微分すると \(f(x)\) になる関数をすべて求めること」
です。
たとえば、\[ \frac{d}{dx}x^2=2x \]
なので、\[ \int 2x\,dx=x^2+C \]
となります。
不定積分では、「微分すると元の関数になる関数」を求めます。 \[ F'(x)=f(x) \]なら、\[ \boxed{\int f(x)\,dx=F(x)+C} \]です。
2. 原始関数と不定積分の違い
原始関数と不定積分の違いを確認するため、\[ f(x)=2x \]
を例に考えてみましょう。
先ほど確認したように、\[ \frac{d}{dx}x^2=2x \]
なので、\(x^2\) は \(2x\) の原始関数です。
しかし、\(2x\) の原始関数は \(x^2\) だけではありません。
たとえば、\[ \frac{d}{dx}(x^2+1)=2x \]
です。
同じように、\[ \frac{d}{dx}(x^2+2)=2x \]\[ \frac{d}{dx}(x^2-10)=2x \]
となります。
つまり、\[ x^2,\qquad x^2+1,\qquad x^2+2,\qquad x^2-10 \]
は、すべて \(2x\) の原始関数です。
これらの違いは、最後に付いている定数だけです。
そこで、この定数を \(C\) としてまとめると、\[ x^2+C \]
と表すことができます。
したがって、\(2x\) の不定積分は、\[ \boxed{ \int 2x\,dx=x^2+C } \]
となります。
ここで、原始関数と不定積分の違いを整理しておきましょう。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 原始関数 | 微分すると \(f(x)\) になる関数 | \(x^2\)、\(x^2+1\) など |
| 不定積分 | 原始関数全体を \(+C\) を使って表したもの | \(x^2+C\) |
つまり、原始関数は1つ1つの関数を指し、不定積分はそれらをまとめて表したものと考えると分かりやすいです。
3. なぜ不定積分には \(+C\) が必要なの?
不定積分では、\[ \int 2x\,dx=x^2+C \]
のように、最後に \(+C\) を付けます。
では、なぜ、\[ \int 2x\,dx=x^2 \]
ではいけないのでしょうか。
その理由は、定数を微分すると0になるからです。
たとえば、\[ \frac{d}{dx}x^2=2x \]
ですが、\[ \frac{d}{dx}(x^2+1)=2x \]
でもあります。
さらに、\[ \frac{d}{dx}(x^2+100)=2x \]\[ \frac{d}{dx}(x^2-50)=2x \]
も成り立ちます。
一般に、定数 \(C\) について、\[ \frac{d}{dx}C=0 \]
なので、\[ \frac{d}{dx}(x^2+C)=2x \]
となります。
つまり、微分した結果が \(2x\) になる関数は \(x^2\) だけではなく、\[ x^2+C \]
という形で無数に存在します。
そのため、不定積分では、\[ \boxed{ \int2x\,dx=x^2+C } \]
と書く必要があります。
不定積分に \(+C\) が必要なのは、定数を微分すると0になり、微分する前の定数が何だったのか分からなくなるからです。
積分定数 \(C\) が必要になる理由については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
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積分定数Cとは?
なぜ不定積分に+Cが必要なのかをわかりやすく解説2026/10/4 積分
積分の計算では、最後に「\(+C\)」を付けます。 たとえば、\[ \int 2x\,dx=x^2+C \] となります。 この \(C\) を積分定数といいます。 しかし、 「なぜ積分すると \(+ ...
4. 不定積分の基本公式
不定積分を計算するために、まずは基本となる公式を確認しましょう。
特に重要なのが、\(x^n\) の不定積分です。\[ \boxed{ \int x^n\,dx = \frac{x^{n+1}}{n+1}+C \qquad(n\neq-1) } \]
微分では指数を1つ下げましたが、不定積分では反対に、指数を1つ増やして、その指数で割ります。
たとえば、\[ \int x^2\,dx \]
であれば、指数 \(2\) に1を足して、\[ 2+1=3 \]
となるので、\[ \int x^2\,dx = \frac{x^3}{3}+C \]
です。
実際に右辺を微分すると、\[ \frac{d}{dx} \left( \frac{x^3}{3}+C \right) = \frac{1}{3}\cdot3x^2 = x^2 \]
となり、元の関数に戻ることが確認できます。
代表的な不定積分の公式をまとめると、次のようになります。
| 関数 | 不定積分 |
|---|---|
| \(x^n\) | \(\displaystyle\frac{x^{n+1}}{n+1}+C\quad(n\neq-1)\) |
| \(k\) | \(kx+C\) |
| \(\displaystyle\frac1x\) | \(\log |x|+C\) |
| \(e^x\) | \(e^x+C\) |
| \(\sin x\) | \(-\cos x+C\) |
| \(\cos x\) | \(\sin x+C\) |
特に注意したいのが、\[ n=-1 \]
の場合です。
先ほどの公式に \(n=-1\) を代入すると、分母が0になってしまうため使えません。
この場合は、\[ \boxed{ \int\frac1x\,dx=\log|x|+C } \]
となります。
5. 不定積分の基本的な性質
複雑な式の不定積分を求めるときには、関数を分けて考えることができます。
まず、定数 \(k\) について、\[ \boxed{ \int kf(x)\,dx = k\int f(x)\,dx } \]
が成り立ちます。
つまり、定数倍されている場合、その定数を積分の外に出すことができます。
また、\[ \boxed{ \int\{f(x)+g(x)\}\,dx = \int f(x)\,dx+\int g(x)\,dx } \]
が成り立ちます。
引き算についても同様に、\[ \boxed{ \int\{f(x)-g(x)\}\,dx = \int f(x)\,dx-\int g(x)\,dx } \]
です。
これらをまとめると、\[ \boxed{ \int\{af(x)+bg(x)\}\,dx = a\int f(x)\,dx + b\int g(x)\,dx } \]
と表すこともできます。
この性質を利用することで、多項式などの不定積分を項ごとに分けて計算できます。
6. 不定積分の求め方を例題で確認しよう
ここからは、実際に不定積分を計算してみましょう。
6-1. \(x^2\) の不定積分
まずは、\[ \int x^2\,dx \]
を求めます。
\(x^n\) の公式、\[ \int x^n\,dx = \frac{x^{n+1}}{n+1}+C \]
を使います。
\(n=2\) なので、\[ \int x^2\,dx = \frac{x^{2+1}}{2+1}+C \]\[ = \boxed{\frac{x^3}{3}+C} \]
となります。
6-2. 多項式の不定積分
次に、\[ \int(3x^2+2x-1)\,dx \]
を求めてみましょう。
各項に分けると、\[ \int(3x^2+2x-1)\,dx \]\[ = 3\int x^2\,dx + 2\int x\,dx - \int1\,dx \]
となります。
それぞれ積分すると、\[ = 3\cdot\frac{x^3}{3} + 2\cdot\frac{x^2}{2} -x+C \]
したがって、\[ \boxed{ \int(3x^2+2x-1)\,dx = x^3+x^2-x+C } \]
となります。
6-3. 三角関数の不定積分
最後に、\[ \int(2\sin x+3\cos x)\,dx \]
を求めてみましょう。
各項に分けると、\[ = 2\int\sin x\,dx + 3\int\cos x\,dx \]
となります。
ここで、\[ \int\sin x\,dx=-\cos x+C \]\[ \int\cos x\,dx=\sin x+C \]
なので、\[ \int(2\sin x+3\cos x)\,dx = \boxed{-2\cos x+3\sin x+C} \]
となります。
7. 求めた不定積分が正しいか確認する方法
不定積分では、求めた答えが正しいか簡単に確認する方法があります。
それは、求めた答えを微分することです。
たとえば先ほど、\[ \int(3x^2+2x-1)\,dx = x^3+x^2-x+C \]
と求めました。
右辺を微分してみると、\[ \frac{d}{dx} (x^3+x^2-x+C) \]\[ = 3x^2+2x-1 \]
となります。
これは、積分する前の関数、\[ 3x^2+2x-1 \]
と一致しています。
したがって、不定積分が正しく求められていることを確認できます。
不定積分の答えが正しいか迷ったら、答えを微分してみましょう。
微分して元の被積分関数に戻れば、正しく積分できています。
このことからも、微分と不定積分が逆向きの関係にあることが分かります。
8. 不定積分と定積分の違い
ここまで不定積分について説明してきましたが、積分には「定積分」もあります。
不定積分は、\[ \int f(x)\,dx = F(x)+C \]
のように表され、\(f(x)\) の原始関数全体を求めるものです。
一方、定積分は、\[ \int_a^b f(x)\,dx \]
のように、積分する範囲 \(a\) から \(b\) が指定されています。
\(F(x)\) を \(f(x)\) の原始関数とすると、\[ \boxed{ \int_a^b f(x)\,dx = F(b)-F(a) } \]
として計算できます。
つまり、
| 不定積分 | 定積分 | |
|---|---|---|
| 書き方 | \(\displaystyle\int f(x)\,dx\) | \(\displaystyle\int_a^b f(x)\,dx\) |
| 求めるもの | 原始関数全体 | 1つの値 |
| 積分範囲 | なし | \(a\) から \(b\) |
| \(+C\) | 必要 | 最終結果には現れない |
定積分は、曲線と \(x\) 軸で囲まれた部分の面積を求めるときなどに利用されます。
ただし、単純に「定積分=面積」というわけではなく、\(x\) 軸より下にある部分では定積分の値が負になる点には注意が必要です。
なぜ定積分を使うと面積を求められるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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積分でなぜ面積が求められる?
定積分と面積の関係をわかりやすく解説2026/10/4 積分
高校数学では、曲線と \(x\) 軸で囲まれた部分の面積を求めるときに「積分」を使います。 たとえば、\(y=x^2\) と \(x\) 軸、\(x=0,\ x=1\) で囲まれた部分の面積 \(S\ ...
9. 不定積分でよくある疑問
9-1. 不定積分では必ず \(+C\) を付けるの?
不定積分では、原則として積分定数 \(C\) を付けます。
たとえば、\[ \int2x\,dx \]
の答えを、\[ x^2 \]
だけにしてしまうと、\[ x^2+1,\quad x^2+2,\quad x^2-10 \]
など、ほかの原始関数を表すことができません。
そのため、\[ \boxed{ \int2x\,dx=x^2+C } \]
と表します。
9-2. \(dx\) にはどんな意味があるの?
たとえば、\[ \int f(x)\,dx \]
の \(dx\) は、\(x\) について積分することを表しています。
変数が \(t\) なら、\[ \int f(t)\,dt \]
となります。
「どの変数について積分しているのかを示している」と理解しておけばよいでしょう。
9-3. 「積分」と「不定積分」は同じ意味?
「積分」という言葉には、大きく分けて不定積分と定積分があります。
不定積分は、\[ \int f(x)\,dx \]
のように原始関数を求めるものです。
一方、定積分は、\[ \int_a^b f(x)\,dx \]
のように積分する範囲を指定して値を求めます。
そのため、「積分」という言葉が使われている場合には、不定積分と定積分のどちらを指しているのかを確認すると理解しやすくなります。
9-4. 不定積分は微分の逆なの?
高校数学では、不定積分は微分を逆向きにたどる操作と考えると分かりやすいです。
たとえば、\[ x^3 \]
を微分すると、\[ 3x^2 \]
になります。
逆に、\[ 3x^2 \]
を不定積分すると、\[ x^3+C \]
となります。
つまり、\[ x^3 \xrightarrow{\text{微分}} 3x^2 \]
に対して、\[ 3x^2 \xrightarrow{\text{不定積分}} x^3+C \]
という関係になっています。
ただし、不定積分では微分によって失われた定数を特定できないため、\(+C\) が必要になる点が重要です。
まとめ
この記事では、不定積分とは何かについて、原始関数との違いや基本公式、実際の求め方まで解説しました。
関数 \(F(x)\) を微分すると \(f(x)\) になるとき、\[ F'(x)=f(x) \]
が成り立ちます。
このとき、\(F(x)\) は \(f(x)\) の原始関数です。
そして、\(f(x)\) の原始関数全体を表したものが不定積分で、\[ \boxed{ \int f(x)\,dx = F(x)+C } \]
と表されます。
不定積分を求めるときに \(+C\) が必要なのは、定数を微分すると0になり、微分する前にどのような定数があったのか分からないためです。
また、不定積分は微分と逆向きの関係にあるため、求めた答えを微分して元の関数に戻るか確認することで、計算が正しいかをチェックできます。
まずは、\[ \boxed{ \int x^n\,dx = \frac{x^{n+1}}{n+1}+C \qquad(n\neq-1) } \]
という基本公式をしっかり理解し、簡単な不定積分から計算に慣れていきましょう。