二次方程式には、実数解の個数を調べるための「判別式」があります。
実は、三次方程式にも同じように判別式が存在します。
例えば、三次方程式
\[ x^3-3x+1=0 \]
は異なる3つの実数解をもちますが、
\[ x^3+x+1=0 \]
は実数解を1つしかもちません。
このような違いは、三次方程式の判別式を使うことで、実際に方程式を解かなくても判定できます。
しかし、
「三次方程式の判別式はどのような公式なのか?」
「判別式の符号によって、実数解の個数はどう変わるのか?」
「三次方程式の判別式はどのように導出するのか?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、三次方程式の判別式の基本的な使い方を具体例とともに解説した後、公式の導出やカルダノの公式との関係について説明します。
特に公式の導出では、途中の計算を省略せず、なぜそのような式になるのかを順番に説明していきます。
1. 三次方程式の判別式とは?
三次方程式の判別式とは、三次方程式を実際に解かなくても、実数解の個数を判定できる式のことです。
一般に、実数を係数とする三次方程式は、
\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \]
と表されます。
ただし、\(a,b,c,d\) は実数であり、\(a\ne0\) とします。
この三次方程式の判別式を \(\Delta\) とすると、次の公式が成り立ちます。
\[ \boxed{\Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2} \]
判別式の符号によって、実数解の個数を次のように判定できます。
| 判別式 | 実数解の個数 |
|---|---|
| \(\Delta>0\) | 異なる3つの実数解 |
| \(\Delta=0\) | 重解をもつ |
| \(\Delta<0\) | 実数解を1つだけもつ |
ここで、重解とは、同じ解が複数回現れることです。
例えば、
\[ (x-1)^2(x+2)=0 \]
という三次方程式は、
\[ x=1,\quad x=-2 \]
という2種類の実数解をもちます。
ただし、\(x=1\) は2回現れるため、2重解と呼ばれます。
また、
\[ (x-1)^3=0 \]
のように、同じ解が3回現れる場合は3重解と呼ばれます。
なお、三次方程式は複素数の範囲では、重複を含めて必ず3つの解をもちます。
例えば、
\[ (x-1)^2(x+2)=0 \]
の解は、
\[ x=1,\quad x=-2 \]
の2種類ですが、\(x=1\) は2重解なので、重複を含めると全部で3つの解があると数えます。
そのため、判別式が正の場合には異なる3つの実数解をもち、判別式が負の場合には実数解を1つ、実数ではない複素数解を2つもちます。
また、判別式が0の場合には重解をもち、すべての解が実数となります。
2. 三次方程式の判別式の使い方
それでは、実際に判別式を使って、三次方程式の実数解の個数を調べてみましょう。
2.1 判別式が正の場合
まず、次の三次方程式について考えてみましょう。
\[ x^3-3x+1=0 \]
この三次方程式の実数解の個数を、判別式を使って調べます。
まず、二次の項がないことに注意して、
\[ x^3+0x^2-3x+1=0 \]
と書き直します。
これを一般形
\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \]
と比較すると、
\[ a=1,\quad b=0,\quad c=-3,\quad d=1 \]
となります。
次に、判別式の公式
\[ \Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2 \]
に代入すると、
\[ \begin{aligned} \Delta &=0^2(-3)^2-4\cdot1\cdot(-3)^3\\ &\quad-4\cdot0^3\cdot1+18\cdot1\cdot0\cdot(-3)\cdot1\\ &\quad-27\cdot1^2\cdot1^2\\ &=108-27\\ &=81 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \Delta=81>0 \]
より、この三次方程式は異なる3つの実数解をもつことがわかります。
そのため、判別式が正の場合には、異なる3つの実数解をもち、実数ではない複素数解は存在しません。
2.2 判別式が0の場合
次に、判別式が0になる場合について考えてみましょう。
以下の三次方程式を考えます。
\[ x^3-3x+2=0 \]
この三次方程式の実数解の個数を、判別式を使って調べます。
まず、二次の項がないことに注意して、
\[ x^3+0x^2-3x+2=0 \]
と書き直します。
これを一般形
\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \]
と比較すると、
\[ a=1,\quad b=0,\quad c=-3,\quad d=2 \]
となります。
次に、判別式の公式
\[ \Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2 \]
に代入すると、
\[ \begin{aligned} \Delta &=0^2(-3)^2-4\cdot1\cdot(-3)^3\\ &\quad-4\cdot0^3\cdot2+18\cdot1\cdot0\cdot(-3)\cdot2\\ &\quad-27\cdot1^2\cdot2^2\\ &=108-108\\ &=0 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \Delta=0 \]
より、この三次方程式は重解をもつことがわかります。
実際に左辺を因数分解すると、
\[ x^3-3x+2=(x-1)^2(x+2) \]
となるため、
\[ (x-1)^2(x+2)=0 \]
より、
\[ x=1,\quad x=-2 \]
です。
このうち、\(x=1\) が2重解になっています。
なお、判別式が0の場合には、重解をもち、すべての解が実数となります。
【補足】今回の例では、2重解と別の実数解をもちますが、3重解をもつ場合もあります。
2.3 判別式が負の場合
最後に、判別式が負になる場合について考えてみましょう。
以下の三次方程式を考えます。
\[ x^3+x+1=0 \]
この三次方程式の実数解の個数を、判別式を使って調べます。
まず、二次の項がないことに注意して、
\[ x^3+0x^2+x+1=0 \]
と書き直します。
これを一般形
\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \]
と比較すると、
\[ a=1,\quad b=0,\quad c=1,\quad d=1 \]
となります。
次に、判別式の公式
\[ \Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2 \]
に代入すると、
\[ \begin{aligned} \Delta &=0^2\cdot1^2-4\cdot1\cdot1^3\\ &\quad-4\cdot0^3\cdot1+18\cdot1\cdot0\cdot1\cdot1\\ &\quad-27\cdot1^2\cdot1^2\\ &=-4-27\\ &=-31 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \Delta=-31<0 \]
より、この三次方程式は実数解を1つ、実数ではない複素数解を2つもちます。
3. 三次方程式の判別式の公式を導出する
ここからは、三次方程式の判別式の公式がどのように導かれるのかを説明します。
一般形の判別式をいきなり導出するのは複雑なので、まずは二次の項がない三次方程式について考えます。
その後、一般形の三次方程式に拡張していきましょう。
なお、ここからは立方完成や微分を利用するため、少し発展的な内容になります。
3.1 立方完成で二次の項を消去する
まず、一般形の三次方程式
\[ ax^3+bx^2+cx+d=0 \]
を考えます。
両辺を \(a\) で割ると、
\[ x^3+\frac ba x^2+\frac ca x+\frac da=0 \]
となります。
ここで、
\[ x=t-\frac{b}{3a} \]
と置き換えます。
この置き換えは、三次方程式の二次の項を消去するために行うものです。
実際に代入すると、
\[ \left(t-\frac{b}{3a}\right)^3 +\frac ba\left(t-\frac{b}{3a}\right)^2 +\frac ca\left(t-\frac{b}{3a}\right) +\frac da=0 \]
となります。
それぞれの項に着目し展開すると、
\[ \left(t-\frac{b}{3a}\right)^3 =t^3-\frac ba t^2+\frac{b^2}{3a^2}t-\frac{b^3}{27a^3} \]
また、
\[ \frac ba\left(t-\frac{b}{3a}\right)^2 =\frac ba t^2-\frac{2b^2}{3a^2}t+\frac{b^3}{9a^3} \]
です。
これらを代入して整理すると、
\[ \begin{aligned} 0 &=t^3-\frac ba t^2+\frac{b^2}{3a^2}t-\frac{b^3}{27a^3}\\ &\quad+\frac ba t^2-\frac{2b^2}{3a^2}t+\frac{b^3}{9a^3}\\ &\quad+\frac ca t-\frac{bc}{3a^2}+\frac da \end{aligned} \]
となります。
ここで、二次の項に注目すると、
\[ -\frac ba t^2+\frac ba t^2=0 \]
となり、確かに二次の項が消えています。
一次の項の係数を整理すると、
\[ \begin{aligned} \frac{b^2}{3a^2}-\frac{2b^2}{3a^2}+\frac ca &=-\frac{b^2}{3a^2}+\frac ca\\ &=\frac{3ac-b^2}{3a^2} \end{aligned} \]
です。
また、定数項は、
\[ \begin{aligned} &-\frac{b^3}{27a^3}+\frac{b^3}{9a^3}-\frac{bc}{3a^2}+\frac da\\ &=\frac{-b^3+3b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}\\ &=\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3} \end{aligned} \]
となります。
したがって、元の三次方程式は、
\[ t^3+pt+q=0 \]
という形に変形できます。
ただし、
\[ \boxed{p=\frac{3ac-b^2}{3a^2}} \]
\[ \boxed{q=\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}} \]
です。
このように、二次の項を消去して
\[ t^3+pt+q=0 \]
の形に変形した三次方程式を、減次三次方程式と呼びます。
3.2 減次三次方程式の判別式
次に、減次三次方程式
\[ t^3+pt+q=0 \]
について考えます。
左辺を関数
\[ f(t)=t^3+pt+q \]
と置きます。
三次方程式の実数解の個数は、この関数のグラフと \(t\) 軸との交点の個数に対応します。
そこで、グラフの極大値・極小値を調べてみましょう。
まず、微分すると、
\[ f'(t)=3t^2+p \]
となります。
極値をとる点では、
\[ 3t^2+p=0 \]
が成り立つため、
\[ t^2=-\frac p3 \]
です。
ここで、\(p<0\) の場合には上式を満たす実数 \(t\) が存在するため、異なる2つの極値をとる点が存在します。
それらの実数 \(t\) は
\[ t=\pm\sqrt{-\frac p3} \]
と表せます。
計算を簡単にするため、
\[ r=\sqrt{-\frac p3} \]
と置きます。
このとき、
\[ p=-3r^2 \]
です。
したがって、導関数は、
\[ \begin{aligned} f'(t) &=3t^2+p\\ &=3t^2-3r^2\\ &=3(t+r)(t-r) \end{aligned} \]
と変形できます。
ここで、\(r>0\) なので、導関数の符号は次のようになります。
- \(t<-r\) のとき、\(f'(t)>0\) なので増加
- \(-r<t<r\) のとき、\(f'(t)<0\) なので減少
- \(t>r\) のとき、\(f'(t)>0\) なので増加
したがって、\(t=-r\) では増加から減少に変わるため極大値をとり、\(t=r\) では減少から増加に変わるため極小値をとります。
極大値は \(t=-r\) のときにとるため、
\[ \begin{aligned} f(-r) &=(-r)^3+p(-r)+q\\ &=-r^3-pr+q\\ &=-r^3+3r^3+q\\ &=2r^3+q \end{aligned} \]
となります。
同様に、極小値は \(t=r\) のときにとるため、
\[ \begin{aligned} f(r) &=r^3+pr+q\\ &=r^3-3r^3+q\\ &=q-2r^3 \end{aligned} \]
となります。
三次方程式が異なる3つの実数解をもつためには、グラフの極大値が正で、極小値が負である必要があります。
つまり、
\[ 2r^3+q>0 \]
かつ、
\[ q-2r^3<0 \]
です。
これらを整理すると、
\[ -2r^3<q<2r^3 \]
となります。
\(r>0\) なので、この不等式は、
\[ q^2<4r^6 \]
と同値です。
ここで、
\[ r^2=-\frac p3 \]
なので、
\[ r^6=\left(-\frac p3\right)^3=-\frac{p^3}{27} \]
です。
したがって、
\[ q^2<-\frac{4p^3}{27} \]
となり、
\[ -4p^3-27q^2>0 \]
が得られます。
このように、減次三次方程式が異なる3つの実数解をもつ条件を、\(p,q\) を使った不等式で表すことができました。
そこで、実数解の個数を判定するために、
\[ \boxed{\Delta_0=-4p^3-27q^2} \]
を減次三次方程式の判別式と定義します。
このとき、
\[ \Delta_0>0 \]
ならば、異なる3つの実数解をもつことがわかります。
また、
\[ \Delta_0=0 \]
の場合には、極大値または極小値が0となります。
このとき、グラフは \(t\) 軸に接するため、三次方程式は2重解をもちます。
一方、
\[ \Delta_0<0 \]
の場合には、極大値と極小値がともに正、またはともに負となります。
そのため、グラフと \(t\) 軸の交点は1つだけとなり、実数解を1つだけもちます。
なお、ここまでは \(p<0\) の場合について考えてきました。
続いて、\(p\ge0\) の場合について考えます。
このとき、
\[ f'(t)=3t^2+p\ge0 \]
となり、関数は単調増加します。
このとき、極大値および極小値は存在しないため、
\[ \Delta_0=-4p^3-27q^2\le0 \]
です。
この式で等号が成立するのは \(p=q=0\) の場合のみであり、そのとき減次三次方程式は
\[ t^3=0 \]
となるため、\(t=0\) (つまり、\(x=-\frac{b}{3a}\) )が3重解となります。
それ以外の場合には、判別式は負となり、実数解は1つだけです。
したがって、すべての場合について、次の判定が成り立ちます。
減次三次方程式の判別式
\[ \boxed{\Delta_0=-4p^3-27q^2} \]
| 判別式 | 実数解 |
|---|---|
| \(\Delta_0>0\) | 異なる3つの実数解をもつ |
| \(\Delta_0=0\) | 重解をもつ |
| \(\Delta_0<0\) | 実数解を1つだけもつ |
3.3 一般形の判別式を導く
最後に、減次三次方程式の判別式から、一般形の判別式を導出します。
先ほど求めた
\[ p=\frac{3ac-b^2}{3a^2} \]
\[ q=\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3} \]
を、
\[ \Delta_0=-4p^3-27q^2 \]
に代入します。
すると、
\[ \begin{aligned} \Delta_0 &=-4\left(\frac{3ac-b^2}{3a^2}\right)^3\\ &\quad-27\left(\frac{2b^3-9abc+27a^2d}{27a^3}\right)^2 \end{aligned} \]
となります。
分母を整理すると、
\[ \begin{aligned} \Delta_0 &=-\frac{4(3ac-b^2)^3}{27a^6}\\ &\quad-\frac{(2b^3-9abc+27a^2d)^2}{27a^6} \end{aligned} \]
です。
ここで、分子を展開していきます。
まず、
\[ \begin{aligned} (3ac-b^2)^3 &=27a^3c^3-27a^2b^2c^2\\ &\quad+9ab^4c-b^6 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \begin{aligned} -4(3ac-b^2)^3 &=-108a^3c^3+108a^2b^2c^2\\ &\quad-36ab^4c+4b^6 \end{aligned} \]
です。
次に、
\[ (2b^3-9abc+27a^2d)^2 \]
を展開します。
\[ \begin{aligned} &(2b^3-9abc+27a^2d)^2\\ &=4b^6+81a^2b^2c^2+729a^4d^2\\ &\quad-36ab^4c+108a^2b^3d-486a^3bcd \end{aligned} \]
となります。
これらの差を計算すると、
\[ \begin{aligned} &-4(3ac-b^2)^3\\ &\quad-(2b^3-9abc+27a^2d)^2\\ &=27a^2b^2c^2-108a^3c^3\\ &\quad-108a^2b^3d+486a^3bcd-729a^4d^2 \end{aligned} \]
です。
共通因数 \(27a^2\) でくくると、
\[ \begin{aligned} &27a^2b^2c^2-108a^3c^3-108a^2b^3d\\ &\quad+486a^3bcd-729a^4d^2\\ &=27a^2(b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2) \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \begin{aligned} \Delta_0 &=\frac{27a^2(b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2)}{27a^6}\\ &=\frac{b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2}{a^4} \end{aligned} \]
が得られます。
ここで、\(a\ne0\) なので、
\[ a^4>0 \]
です。
したがって、\(\Delta_0\) の符号は、分子の符号と一致します。
そこで、一般形の三次方程式の判別式を
\[ \Delta=a^4\Delta_0 \]
と定義すると、
\[ \boxed{\Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2} \]
が得られます。
これにより、第1章で紹介した三次方程式の判別式の公式を導出できました。
また、\(a^4>0\) なので、\(\Delta\) と \(\Delta_0\) の符号は常に一致します。
したがって、一般形の三次方程式でも、判別式の符号から実数解の個数を判定できることがわかります。
4. 三次方程式の判別式とカルダノの公式の関係
三次方程式の解を求める方法として、「カルダノの公式」があります。
カルダノの公式では、減次三次方程式
\[ t^3+pt+q=0 \]
について、
\[ D=\left(\frac q2\right)^2+\left(\frac p3\right)^3 \]
という式が登場します。
この \(D\) も判別式と呼ばれることがありますが、先ほど導出した判別式 \(\Delta_0\) とは異なる式です。
実際に、\(D\) を変形すると、
\[ \begin{aligned} D &=\frac{q^2}{4}+\frac{p^3}{27}\\ &=\frac{27q^2+4p^3}{108}\\ &=-\frac{-4p^3-27q^2}{108}\\ &=-\frac{\Delta_0}{108} \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \boxed{\Delta_0=-108D} \]
という関係が成り立ちます。
また、一般形の判別式との関係は、
\[ \Delta=a^4\Delta_0 \]
より、
\[ \boxed{\Delta=-108a^4D} \]
となります。
つまり、\(\Delta\) と \(D\) では、符号の正負が逆になります。
| 一般形の判別式 \(\Delta\) | カルダノの公式の \(D\) | 実数解 |
|---|---|---|
| \(\Delta>0\) | \(D<0\) | 異なる3つ |
| \(\Delta=0\) | \(D=0\) | 重解をもつ |
| \(\Delta<0\) | \(D>0\) | 1つ |
同じ三次方程式の実数解の個数を判定する式でも、判別式の定義によって符号の対応が変わるため、注意しましょう。
なお、カルダノの公式の具体的な導出や使い方については、別の記事で詳しく解説しています。
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5. 練習問題
最後に、三次方程式の判別式を使って、実数解の個数を判定する練習をしてみましょう。
解答
係数を比較すると、
\[ a=1,\quad b=0,\quad c=-6,\quad d=4 \]
です。
三次方程式の判別式
\[ \boxed{\Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2} \]
に代入すると、
\[ \begin{aligned} \Delta &=0^2(-6)^2-4\cdot1\cdot(-6)^3\\ &\quad-4\cdot0^3\cdot4+18\cdot1\cdot0\cdot(-6)\cdot4\\ &\quad-27\cdot1^2\cdot4^2\\ &=864-432\\ &=432 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \Delta=432>0 \]
より、異なる3つの実数解をもつことがわかります。
解答
係数を比較すると、
\[ a=1,\quad b=3,\quad c=3,\quad d=1 \]
です。
三次方程式の判別式
\[ \boxed{\Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2} \]
に代入すると、
\[ \begin{aligned} \Delta &=3^2\cdot3^2-4\cdot1\cdot3^3-4\cdot3^3\cdot1\\ &\quad+18\cdot1\cdot3\cdot3\cdot1-27\cdot1^2\cdot1^2\\ &=81-108-108+162-27\\ &=0 \end{aligned} \]
となります。
したがって、この三次方程式は重解をもちます。
実際に左辺を因数分解すると、
\[ x^3+3x^2+3x+1=(x+1)^3 \]
となるため、
\[ (x+1)^3=0 \]
より、
\[ x=-1 \]
です。
この場合は、同じ解が3回現れるため、3重解となっています。
解答
係数を比較すると、
\[ a=2,\quad b=1,\quad c=1,\quad d=1 \]
です。
三次方程式の判別式
\[ \boxed{\Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2} \]
に代入すると、
\[ \begin{aligned} \Delta &=1^2\cdot1^2-4\cdot2\cdot1^3-4\cdot1^3\cdot1\\ &\quad+18\cdot2\cdot1\cdot1\cdot1-27\cdot2^2\cdot1^2\\ &=1-8-4+36-108\\ &=-83 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ \Delta=-83<0 \]
より、実数解を1つだけもつことがわかります。
まとめ
この記事では、三次方程式の判別式の使い方と公式の導出について解説しました。
最後に、重要なポイントを整理しておきましょう。
三次方程式
\[ ax^3+bx^2+cx+d=0\quad(a\ne0) \]
の判別式は、
\[ \boxed{\Delta=b^2c^2-4ac^3-4b^3d+18abcd-27a^2d^2} \]
です。
判別式の符号によって、
- \(\Delta>0\):異なる3つの実数解をもつ
- \(\Delta=0\):重解をもつ
- \(\Delta<0\):実数解を1つだけもつ
と判定できます。
また、減次三次方程式
\[ t^3+pt+q=0 \]
の判別式は、
\[ \boxed{\Delta_0=-4p^3-27q^2} \]
であり、一般形の判別式とは
\[ \Delta=a^4\Delta_0 \]
という関係があります。
さらに、カルダノの公式で登場する
\[ D=\left(\frac q2\right)^2+\left(\frac p3\right)^3 \]
とは、
\[ \Delta=-108a^4D \]
という関係があります。
三次方程式の判別式は、二次方程式の判別式と比べると公式が複雑ですが、実数解の個数を調べるという役割は同じです。
また、立方完成やカルダノの公式と関連付けて理解することで、三次方程式の仕組みをより深く理解できるようになります。
公式を単に暗記するだけでなく、どのように導かれるのかについても、ぜひ理解しておきましょう。