二次方程式の問題を解いていると、「判別式」というものが登場します。
判別式とは、二次方程式を実際に解かなくても、実数解の個数を判定できる式のことです。
例えば、二次方程式
\[ x^2-4x+3=0 \]
は異なる2つの実数解をもちますが、
\[ x^2-4x+5=0 \]
は実数解をもちません。
このような違いを、判別式を使えば簡単に調べることができます。
しかし、
「判別式はどのように使うのか?」
「判別式が正・0・負の場合で、なぜ実数解の個数が変わるのか?」
「判別式D/4とは何か?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、二次方程式の判別式の基本的な使い方を具体例とともに解説した後、解の公式を利用して判別式が成り立つ理由を説明します。
さらに、判別式D/4の使い方や、定数を含む二次方程式への応用についても紹介します。
1. 二次方程式の判別式とは?
1.1 判別式Dの公式
二次方程式
\[ ax^2+bx+c=0\quad(a\ne0) \]
に対して、判別式 \(D\) は次のように定義されます。
\[ \boxed{D=b^2-4ac} \]
この判別式の符号によって、二次方程式の実数解の個数を判定できます。
| 判別式 | 実数解の個数 |
|---|---|
| \(D>0\) | 異なる2つの実数解 |
| \(D=0\) | 1つの実数解(重解) |
| \(D<0\) | 実数解なし |
ここで「重解」とは、同じ解が重なって現れることを意味します。
例えば、
\[ (x-2)^2=0 \]
という二次方程式の解は \(x=2\) のみです。
このように、2つの解が一致している場合、その解を重解と呼びます。
1.2 判別式を使った具体例
実際に、判別式を使って実数解の個数を調べてみましょう。
解答
この二次方程式では、
\[ a=1,\quad b=-5,\quad c=6 \]
なので、判別式は
\[ \begin{aligned} D&=(-5)^2-4\cdot1\cdot6\\ &=25-24\\ &=1 \end{aligned} \]
となります。
\(D>0\) なので、この二次方程式は異なる2つの実数解をもちます。
実際に因数分解すると、
\[ (x-2)(x-3)=0 \]
より、
\[ x=2,\quad3 \]
となり、異なる2つの実数解が存在することを確認できます。
解答
判別式は、
\[ \begin{aligned} D&=(-4)^2-4\cdot1\cdot4\\ &=16-16\\ &=0 \end{aligned} \]
となります。
\(D=0\) なので、この二次方程式は重解をもちます。
実際に因数分解すると、
\[ (x-2)^2=0 \]
より、
\[ x=2 \]
となります。
解答
判別式は、
\[ \begin{aligned} D&=(-2)^2-4\cdot1\cdot3\\ &=4-12\\ &=-8 \end{aligned} \]
となります。
\(D<0\) なので、この二次方程式は実数解をもちません。
このように、判別式を使うと、実際に二次方程式を解かなくても実数解の個数を判定できます。
2. なぜ判別式で実数解の個数がわかるのか?
それでは、なぜ判別式の符号によって実数解の個数を判定できるのでしょうか?
その理由は、二次方程式の解の公式から説明できます。
2.1 解の公式と判別式の関係
二次方程式
\[ ax^2+bx+c=0\quad(a\ne0) \]
の解の公式は、
\[ x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \]
です。
この公式において、平方根の中にある
\[ b^2-4ac \]
が判別式 \(D\) です。
したがって、解の公式は、
\[ x=\frac{-b\pm\sqrt D}{2a} \]
と表せます。
ここで、平方根 \(\sqrt D\) が実数になるかどうかに注目します。
2.2 判別式が正の場合
\(D>0\) の場合、\(\sqrt D\) は正の実数です。
そのため、解の公式から、
\[ x=\frac{-b+\sqrt D}{2a} \]
\[ x=\frac{-b-\sqrt D}{2a} \]
という2つの異なる実数解が得られます。
したがって、
\[ \boxed{D>0\Rightarrow\text{異なる2つの実数解}} \]
となります。
2.3 判別式が0の場合
\(D=0\) の場合、
\[ \sqrt D=0 \]
なので、解の公式は、
\[ x=\frac{-b}{2a} \]
となります。
このとき、2つの解が一致するため、重解をもちます。
したがって、
\[ \boxed{D=0\Rightarrow\text{重解をもつ}} \]
となります。
2.4 判別式が負の場合
\(D<0\) の場合、負の数の平方根は実数の範囲では定義されません。
そのため、解の公式から実数解を得ることはできません。
したがって、
\[ \boxed{D<0\Rightarrow\text{実数解なし}} \]
となります。
なお、複素数の範囲では、この場合も2つの異なる複素数解が存在します。
以上より、判別式の符号によって実数解の個数が決まることがわかります。
3. 判別式と二次関数のグラフの関係
判別式は、二次方程式の実数解の個数だけでなく、二次関数のグラフと \(x\) 軸の交点の個数を調べるときにも利用できます。
二次関数
\[ y=ax^2+bx+c \]
のグラフと \(x\) 軸の交点では、
\[ y=0 \]
となるため、
\[ ax^2+bx+c=0 \]
が成り立ちます。
つまり、二次方程式の実数解の個数は、グラフと \(x\) 軸の交点の個数に対応しています。
| 判別式 | グラフとx軸の関係 |
|---|---|
| \(D>0\) | 異なる2点で交わる |
| \(D=0\) | 1点で接する |
| \(D<0\) | 交わらない |

さらに、平方完成を利用すると、
\[ \begin{aligned} y&=ax^2+bx+c\\ &=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{D}{4a} \end{aligned} \]
となります。
したがって、放物線の頂点の座標は、
\[ \left(-\frac{b}{2a},-\frac{D}{4a}\right) \]
です。
この式からも、判別式が放物線と \(x\) 軸の位置関係に深く関わっていることがわかります。
例えば、\(a>0\) の場合、頂点の \(y\) 座標は \(-D/(4a)\) なので、\(D>0\) なら頂点は \(x\) 軸より下にあります。
一方、\(D=0\) なら頂点は \(x\) 軸上にあり、\(D<0\) なら頂点は \(x\) 軸より上にあります。
\(a<0\) の場合は放物線が下に開きますが、判別式と交点の個数の対応は同じです。
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4. 判別式D/4とは?
二次方程式の \(x\) の係数が偶数の場合、判別式を4で割った \(D/4\) を使うと計算を簡単にできます。
4.1 判別式D/4の公式
二次方程式が、
\[ ax^2+2b'x+c=0 \]
と表される場合を考えます。
通常の判別式は、
\[ D=(2b')^2-4ac \]
です。
これを整理すると、
\[ \begin{aligned} D&=4b'^2-4ac\\ &=4(b'^2-ac) \end{aligned} \]
となります。
両辺を4で割ると、
\[ \boxed{\frac D4=b'^2-ac} \]
が得られます。
4は正の数なので、\(D\) と \(D/4\) の符号は同じです。
したがって、\(D/4\) を使っても実数解の個数を正しく判定できます。
4.2 判別式D/4を使った例題
解答
この二次方程式では、
\[ a=3,\quad 2b'=-8,\quad c=5 \]
なので、
\[ b'=-4 \]
となります。
したがって、
\[ \begin{aligned} \frac D4&=(-4)^2-3\cdot5\\ &=16-15\\ &=1 \end{aligned} \]
となります。
\(D/4>0\) なので、この二次方程式は異なる2つの実数解をもちます。
通常の判別式を使っても同じ結果になりますが、\(D/4\) を使えば計算する数を小さくできます。
4.3 DとD/4の使い分け
判別式 \(D\) と \(D/4\) は、次のように使い分けると便利です。
| 二次方程式の形 | おすすめ |
|---|---|
| \(ax^2+bx+c=0\) | \(D=b^2-4ac\) |
| \(ax^2+2b'x+c=0\) | \(D/4=b'^2-ac\) |
ただし、\(D/4\) は \(x\) の係数を半分にして計算する方法なので、偶数でない係数でも分数を使えば計算できます。
一般的には、\(x\) の係数が偶数の場合に使うと便利です。
5. 判別式を使った応用問題
ここからは、判別式を使った応用問題を紹介します。
5.1 重解をもつ条件を求める問題
解答
二次方程式が重解をもつ条件は、
\[ D=0 \]
です。
判別式を計算すると、
\[ \begin{aligned} D&=(-2k)^2-4\cdot1\cdot9\\ &=4k^2-36 \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ 4k^2-36=0 \]
\[ k^2=9 \]
より、
\[ \boxed{k=\pm3} \]
となり、これが答えです。
5.2 異なる2つの実数解をもつ条件を求める問題
解答
異なる2つの実数解をもつ条件は、
\[ D>0 \]
です。
判別式を計算すると、
\[ \begin{aligned} D&=(-2k)^2-4(k+2)\\ &=4k^2-4k-8\\ &=4(k-2)(k+1) \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ 4(k-2)(k+1)>0 \]
より、
\[ (k-2)(k+1)>0 \]
となります。
積が正になる条件から、
\[ \boxed{k<-1,\quad 2<k} \]
となり、これが答えです。
5.3 実数解をもたない条件を求める問題
解答
実数解をもたない条件は、
\[ D<0 \]
です。
判別式を計算すると、
\[ \begin{aligned} D&=(2k)^2-4(k+3)\\ &=4k^2-4k-12\\ &=4(k^2-k-3) \end{aligned} \]
となります。
したがって、
\[ k^2-k-3<0 \]
を解けばよいことになります。
方程式
\[ k^2-k-3=0 \]
の解は、
\[ k=\frac{1\pm\sqrt{13}}2 \]
なので、
\[ \boxed{\frac{1-\sqrt{13}}2<k<\frac{1+\sqrt{13}}2} \]
となります。
まとめ
この記事では、二次方程式の判別式の意味や使い方、公式が成り立つ理由について解説しました。
二次方程式
\[ ax^2+bx+c=0\quad(a\ne0) \]
の判別式は、
\[ \boxed{D=b^2-4ac} \]
です。
判別式と実数解の個数には、次の関係があります。
| 判別式 | 実数解の個数 |
|---|---|
| \(D>0\) | 異なる2つの実数解 |
| \(D=0\) | 1つの実数解(重解) |
| \(D<0\) | 実数解なし |
また、\(x\) の係数が偶数の場合は、
\[ \boxed{\frac D4=b'^2-ac} \]
を使うと計算を簡単にできます。
判別式は、二次方程式の実数解の個数を調べるだけでなく、二次関数のグラフと \(x\) 軸の位置関係や、定数を含む方程式の問題にも利用できます。
公式を覚えるだけでなく、なぜ判別式によって実数解の個数が決まるのかを理解しておくと、さまざまな問題に応用しやすくなります。