「この数は3の倍数?」「11の倍数かどうか、割り算をせずに調べたい」
そんなときに役立つのが、倍数判定法です。
例えば、各桁の数字を足した結果が3の倍数であれば、元の数も3の倍数であると判定できます。
しかし、「なぜ各桁の数字を足すだけで判定できるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
本記事では、2~11の倍数判定法を一覧表にまとめ、それぞれの見分け方を具体例とともに解説します。
さらに、判定法がなぜ成立するのかについても、数式の途中をできるだけ省略せずに証明します。
まずは、倍数判定法の一覧から確認していきましょう。
倍数判定法一覧【2~11の倍数の見分け方】
| 倍数 | 見分け方・判定方法 |
|---|---|
| 2の倍数 | 一の位が0・2・4・6・8である |
| 3の倍数 | 各桁の数字の和が3の倍数である |
| 4の倍数 | 下2桁でできる数が4の倍数である |
| 5の倍数 | 一の位が0または5である |
| 6の倍数 | 2の倍数かつ3の倍数である |
| 7の倍数 | 右から3桁ずつ区切り、交互に足し引きした結果が7の倍数である |
| 8の倍数 | 下3桁でできる数が8の倍数である |
| 9の倍数 | 各桁の数字の和が9の倍数である |
| 10の倍数 | 一の位が0である |
| 11の倍数 | 各桁の数字を交互に足し引きした結果が11の倍数である |
一覧表を見れば倍数かどうかを調べられますが、なぜこの方法で判定できるのでしょうか?
ここからは、それぞれの判定法を具体例と証明を交えて解説します。
2の倍数の見分け方と証明
なぜ一の位だけで判定できるのか?
任意の正の整数は、十の位以上の部分を表す整数を \(a\)、一の位の数字を \(b\) とすると、次のように表せます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10a+b
\end{eqnarray}
ここで、\(10a\) は必ず2の倍数です。
したがって、元の数が2の倍数かどうかは、残った一の位の数字 \(b\) が2の倍数かどうかだけで決まります。
一の位の数字のうち2の倍数は、0・2・4・6・8です。
よって、2の倍数判定法が成立します。
3の倍数の見分け方と証明
なぜ各桁の数字の和で判定できるのか?
5桁の整数を例に考えます。
各桁の数字を左から \(a, b, c, d, e\) とすると、この整数は次のように表せます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e
\end{eqnarray}
ここで、10000・1000・100・10を、それぞれ「3の倍数+1」の形に変形します。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000&=&3 \times 3333+1 \\
\displaystyle 1000&=&3 \times 333+1 \\
\displaystyle 100&=&3 \times 33+1 \\
\displaystyle 10&=&3 \times 3+1
\end{eqnarray}
これらを元の整数に代入して整理すると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e=\color{red}{\underset{①}{\underline{\color{black}{3(3333a+333b+33c+3d)}}}}+\color{red}{\underset{②}{\underline{\color{black}{a+b+c+d+e}}}}
\end{eqnarray}
右辺の第一項(項①)は必ず3の倍数です。
そのため、元の整数が3の倍数であることと、各桁の数字の和 \(a+b+c+d+e\) (項②)が3の倍数であることは同値です。
今回は5桁で説明しましたが、桁数が増えても各位の \(10^n\) は「3の倍数+1」と表せるため、同じ考え方が使えます。
4の倍数の見分け方と証明
なぜ下2桁だけで判定できるのか?
5桁の整数を例に考えます。
各桁の数字を左から \(a, b, c, d, e\) とすると、この整数は次のように表せます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e
\end{eqnarray}
ここで、10000・1000・100はそれぞれ4の倍数であるため、以下の形に変形できます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e=\color{red}{\underset{①}{\underline{\color{black}{4(2500a+250b+25c)}}}}+\color{red}{\underset{②}{\underline{\color{black}{10d+e}}}}
\end{eqnarray}
右辺の第一項(項①)は必ず4の倍数です。
そのため、元の整数が4の倍数であることと、下2桁でできる数 \(10d+e\) (項②)が4の倍数であることは同値です。
今回は5桁で説明しましたが、桁数が増えても同じ考え方が使えます。
5の倍数の見分け方と証明
なぜ一の位だけで判定できるのか?
任意の正の整数は、十の位以上の部分を表す整数を \(a\)、一の位の数字を \(b\) とすると、次のように表せます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10a+b
\end{eqnarray}
ここで、\(10a\) は必ず5の倍数です。
一の位の数字のうち、5の倍数は"0"と"5"です。
よって、5の倍数判定法が成立します。
6の倍数の見分け方と証明
なぜ2と3の両方で判定できるのか?
6は、2と3の積で表せます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 6=2\times3
\end{eqnarray}
2と3は互いに素なので、ある整数が2と3の両方で割り切れるなら、6でも割り切れます。
逆に、6の倍数は必ず2の倍数でも3の倍数でもあります。
したがって、「2の倍数かつ3の倍数」であることが、6の倍数の必要十分条件です。
7の倍数の見分け方と証明
なぜ3桁ずつ区切って判定できるのか?
ここでは、桁数にかかわらず成立することを説明します。
例えば、3桁ずつ区切った整数を右から \(A,B,C\) とすると、元の整数は、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 1000000C+1000B+A
\end{eqnarray}
と表せます。
ここで、1000は
\begin{eqnarray}
\displaystyle 1000=7\times143-1
\end{eqnarray}
が成り立ちます。
つまり、1000に1を加えた数である1001は、7の倍数であることがわかります。
また、1000000は
\begin{eqnarray}
\displaystyle 1000000&=&1000^2 \\
\displaystyle &=&(7\times143-1)^2 \\
\displaystyle &=&(7\times143)^2-2(7\times143)+1
\end{eqnarray}
なので、1000000から1を引いた数である999999は7の倍数であることがわかります。
以上を踏まえ、元の整数を以下のように変形すると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 1000000C+1000B+A=(1000000-1)C+(1000+1)B+(A-B+C)
\end{eqnarray}
ここで、\(1000000−1=999999\) と \(1000+1=1001\) は、どちらも7の倍数です。
そのため、元の整数が7の倍数かどうかは、
\begin{eqnarray}
\displaystyle A-B+C
\end{eqnarray}
が7の倍数かどうかだけで決まります。
また、3桁のまとまりがさらに増えた場合でも、1000の累乗は「7の倍数+1」と「7の倍数−1」の形が交互に現れます。
そのため、桁数が増えても、3桁ずつ区切った数を右から交互に足し引きすることで、7の倍数かどうかを判定できます。
8の倍数の見分け方と証明
なぜ下3桁だけで判定できるのか?
任意の整数を、下3桁より上の部分を表す整数 \(a\) と、下3桁でできる数 \(b\) を使って表すと、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 1000a+b
\end{eqnarray}
となります。
ここで、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 1000a=8\times125a
\end{eqnarray}
なので、\(1000a\) は必ず8の倍数です。
したがって、元の数が8の倍数であることと、下3桁でできる数 \(b\) が8の倍数であることは同値です。
下3桁が「000」の場合も、0は8の倍数なので判定法に当てはまります。
9の倍数の見分け方と証明
なぜ各桁の数字の和で判定できるのか?
5桁の整数を例に考えます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e
\end{eqnarray}
各位の係数を「9の倍数+1」に変形すると、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000&=&9 \times 1111+1 \\
\displaystyle 1000&=&9 \times 111+1 \\
\displaystyle 100&=&9 \times 11+1 \\
\displaystyle 10&=&9 \times 1+1
\end{eqnarray}
したがって、元の整数は、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e=9(1111a+111b+11c+d)+(a+b+c+d+e)
\end{eqnarray}
と変形できます。
右辺の第1項は必ず9の倍数です。
そのため、元の整数が9の倍数であることと、各桁の数字の和が9の倍数であることは同値です。
この考え方は、桁数が増えても同じように成立します。
10の倍数の見分け方と証明
なぜ一の位だけで判定できるのか?
任意の整数を、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10a+b
\end{eqnarray}
と表します。
\(10a\) は必ず10の倍数なので、元の数が10の倍数かどうかは、一の位の数字 \(b\) だけで決まります。
一の位の数字で10の倍数になるのは0だけです。
よって、10の倍数判定法が成立します。
11の倍数の見分け方と証明
なぜ各桁を交互に足し引きするのか?
まず、10は次のように表せます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10=11-1
\end{eqnarray}
つまり、10は「11の倍数から1を引いた数」になっています。
さらに、100、1000、10000についても、次のように「11の倍数に1を足した数」または「11の倍数から1を引いた数」として表すことができます。
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10&=&11-1 \\
\displaystyle 100&=&99+1 \\
\displaystyle 1000&=&1001-1 \\
\displaystyle 10000&=&9999+1
\end{eqnarray}
ここで、11、99、1001、9999はいずれも11の倍数です。
つまり、10、100、1000、10000……は、「11の倍数−1」と「11の倍数+1」が交互に現れるという特徴があります。
この性質を使って、5桁の整数
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e
\end{eqnarray}
について考えてみましょう。
先ほど確認した関係を使うと、
\begin{eqnarray}
\displaystyle 10000a+1000b+100c+10d+e&=&(9999+1)a+(1001-1)b+(99+1)c+(11-1)d+e \\
\displaystyle &=&\color{red}{\underset{11の倍数}{\underline{\color{black}{9999}}}}a+\color{red}{\underset{11の倍数}{\underline{\color{black}{1001}}}}b+\color{red}{\underset{11の倍数}{\underline{\color{black}{99}}}}c+\color{red}{\underset{11の倍数}{\underline{\color{black}{11}}}}d+(\color{red}{\underset{①}{\underline{\color{black}{a-b+c-d+e}}}})
\end{eqnarray}
となるため、元の整数が11の倍数かどうかは、項①が11の倍数かどうかで判断できます。
つまり、各桁の数字を交互に足し引きした結果が11の倍数であれば、元の数も11の倍数になるというわけです。
また、桁数が増えても、10、100、1000、10000……は「11の倍数−1」と「11の倍数+1」が交互に現れます。
そのため、この判定方法は桁数が増えた場合でも同じように利用できます。
まとめ
本記事では、2~11の倍数判定法について、見分け方とその理由を解説しました。
特に覚えておきたいのは、次の関係です。
- 3・9の倍数: 各桁の数字の和で判定する。
- 4・8の倍数: 下2桁・下3桁で判定する。
- 7・11の倍数: 数字を区切ったり、交互に足し引きしたりして判定する。
倍数判定法が成立する背景には、10進法の性質があります。
例えば、10の累乗は「3の倍数+1」「9の倍数+1」の形で表すことができます。また、11の場合は「11の倍数+1」と「11の倍数−1」の形が交互に現れます。
この仕組みを理解すれば、判定法を丸暗記するだけでなく、「なぜその方法で判定できるのか」を自分で説明できるようになります。
整数問題を解く際には、ぜひ今回紹介した判定法を活用してみてください。