おもしろ数学(数学コラム)

なぜ1は素数ではないのか?
意外と知らない本当の理由とは?

「\(1\) は素数なのだろうか?」

素数を学び始めると、多くの人が一度はこの疑問を抱きます。

実際、\(1\) は \(1\) でしか割り切れないため、一見すると素数のようにも思えます。しかし、現在の数学では \(1\) は素数には含まれません。

では、なぜ \(1\) は素数ではないのでしょうか?

この記事では、素数の定義や素因数分解との関係を通して、\(1\) が素数に含まれない理由をわかりやすく解説します。

また、実は昔は \(1\) を素数として扱っていた時代があったという興味深い歴史についても紹介します。

■まずは結論!1は素数?それとも素数でない?

まずはここを明確にしておきましょう。

1は、、、もちろん素数ではありません!

その理由は、

  • 素数の定義
  • 素因数分解の一意性

にあります。本記事では、上記2点について確認し、まとめていくことにします。


■素数の定義

ここで一度、素数の定義について確認しましょう。

素数の定義

1と自分自身以外に正の約数を持たない、2以上の自然数を素数と呼ぶ。

上記の定義より、1は「2以上の自然数」に含まれないため、1は素数じゃない、ということになります。


■素数に1を含めない理由は「素因数分解の一意性」のため?

何故、素数の定義の中に「2以上の自然数」という条件が含まれているのでしょうか。

これは、そう定義することで素因数分解の結果を一意に定めることができるから、という説が有力なようです。

これはどういうことでしょうか。

例えば、\(30\) という数字を素因数分解すると、以下のようになります。

\begin{eqnarray}
\displaystyle 30=2 \times 3 \times 5 \tag{1}
\end{eqnarray}

\(30\) を素因数分解した結果は、必ず(1)式のようになります。言い換えると、素因数分解の結果は必ず一意に定まります。

では、仮に \(1\) を素数として認めた場合、\(30\) を素因数分解するとどうなるでしょうか。

\begin{eqnarray}
\displaystyle 30&=&1 \times 2 \times 3 \times 5 \tag{2} \\
\displaystyle 30&=&1 \times 1 \times 2 \times 3 \times 5 \tag{3} \\
\displaystyle 30&=&1 \times 1 \times 1 \times 2 \times 3 \times 5 \tag{4} \\
\end{eqnarray}

(2), (3), (4) はいずれも等式としては成立しており、また、右辺はいずれも素数で構成されているため、素因数分解された結果と言えます。

つまり、\(1\) を素数と認めてしまうと素因数分解の結果が一意に定まらなくなってしまいます。

これは正直、あまり嬉しいことではありません。

おろち
おろち

人によって違う答えが出てしまうような定義は、数学的には美しくないですよね。

もちろん、「素因数分解をする際、\(1\) は一回しか使わない」とかのルールを別途追加すればこの問題は解消します。

しかし、それならもう『素数には \(1\) を含めない』と定義した方が早いですし、特に困ることもなさそうです。

以上の理由より、現代数学では素数を以下の通り定義しているわけです。(※以下は再掲です)

素数の定義

1と自分自身以外に正の約数を持たない、2以上の自然数を素数と呼ぶ。


■(おまけ)最近まで1は素数だった!?

現在では、\(1\) は素数でないことは共通認識となっており、数学愛好家(?)の中では常識となっています。

しかし実は、\(1\) を素数に含めないことが明確に定義されたのはつい最近です。

1900年代の初頭くらいまでは、\(1\) を素数に含める数学者も数多く存在していました。

、、、というより、そもそも素数の定義が当時は明確でなかったため、中には「素数は奇数のみで構成されるべきだ!」という考えから、\(2\) も素数に含めない、と考える数学者もいました。

おろち
おろち

\(2\) を素数に含めないのは、今となっては信じられないですよね。

時が経つにつれ、素数の定義としてはやはり \(1\) を含めない方が(素因数分解の一意性などの観点で)キレイであると考えられるようになり、現在の素数の定義が広く知られるようになりました。

今後、よほどの大革命が起こらない限りはこの素数の定義が変わることはないでしょう。


■まとめ

この記事では、「なぜ \(1\) は素数ではないのか」について解説しました。

現在の数学では、素数は「 \(1\) より大きく、 \(1\) と自分自身以外に約数を持たない自然数」と定義されています。

そのため、\(1\) は素数には含まれません。

また、もし \(1\) を素数に含めてしまうと、素因数分解の表し方が無限に存在してしまい、「素因数分解の一意性」という重要な性質が失われてしまいます。

さらに、歴史を振り返ると、かつては \(1\) を素数として扱う数学者も存在しました。

しかし数学の発展とともに定義が整理され、現在では世界共通で「 \(1\) は素数ではない」とされています。

一見単純な疑問ですが、その背景には数学の美しいルールが隠されているのです。


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